◆無線・有線式ドローンは一長一短

前線地帯を走る軍用車両の多くが、防護用の金網で全体を覆い、無線妨害装置(ジャマー)をルーフに取り付けるようになった。ジャマーが発する妨害電波は、50~100メートルの距離に近づいた機体の操縦信号を遮断し、コントロールを失わせて落下させる。だが飛行中に周波数を切り替えるなど、ジャマーを突破する機種が登場。これに続いて開発されたのが光ファイバーケーブルで遠隔操作する有線式ドローンだった。

前線地帯を走る車両はドローン対策で、全体を金網やネットで覆っている。さらにルーフには無線妨害装置(ジャマー)を設置するようになった。それでも爆発を防げるというわけではない。(2025年6月・ドネツク州前線・撮影・玉本英子)
前線で使われるデテクターと呼ばれる装置。ドローンから発信される無線カメラ映像を傍受し、モニター画面に映し出す。機体が接近するとアラームが鳴る。3つの主要周波数に対応。ただし、無線を使わない有線式ドローンには反応しない。(2026年3月・ドネツク州前線・撮影・アジアプレス)

有線式によって、ジャマーは無意味となった。だが、一長一短があるという。

バンデラ操縦士は、説明する。
「有線式はジャマーを突破できる。また、建物内部や茂みに侵入すると無線式は信号が途切れ不安定になるが、有線式だと建物の奥まで入り込んでいける。他方で、これまでの無線式ドローンは3kgの弾頭を搭載できた。有線式はケーブルタンクの重量があるから、1.5kgの弾頭しか積めず、速度もわずかに遅くなる。それが難点だ」

新型の有線式が無線式にとって代わるかと思っていたが、状況に応じて無線・有線式を使い分ける複合戦術をとっているとのことだった。

これまでにどれぐらいのロシア兵を殺したのでしょうか、と私は聞いた。

「何人かは言えない。だが、たくさん仕留めたよ。とてもたくさんの数だ」
彼は、静かに言った。(つづく)

光ファイバーケーブルタンクを付けたウクライナ軍が使う有線式ドローン。有線式は2024年、ロシア軍が最初に実戦投入。ウクライナ軍も続いて有線式の量産を開始し、政府は光ファイバーケーブルの輸入に関税をかけない措置をとった。(2025年6月・ドネツク州前線・撮影・玉本英子)
自爆ドローンのカメラ部。強風のほか雨と霧に弱いのが弱点で、雨だと電子回路に水が入ってショートする。冷え込んだ霧の日は、カメラのレンズが水滴や霜で曇って視界を失うことがあるという。(2025年6月・ドネツク州前線・撮影・玉本英子)
第28独立機械化旅団は、激戦地コスチャンティニウカ(コンスタンチノフカ)の攻防戦を戦っている。地図は2026年1月上旬時点の状況。(地図作成・アジアプレス)

※ 取材時から少し時間が経過しての掲載ですが、部隊配置などの情報を考慮して時間差が出ています。また任務中の兵士はフルネームが出せない場合があり、兵士のコールサイン(ポズブノイ)名で表記することがあります。

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