過去の改修工事で飛散か

もう1つ触れられていない重大な問題として、過去の改修工事で石綿が飛散し居住者らがばく露した可能性がある。

発表資料には記載がないが、市によれば、協和町中団地4号館は1994年、塩穴団地1棟は1999年に共用部天井の改修工事をしていた。

バーミキュライト吹き付け材の厚さを聞いた際、市は「当時の共用部改修でケレン除去と書いてあったのでそれで薄くなったのかなと。(厚さが)均一ではなかった」(住宅改良課)と回答。このとき過去の改修工事における石綿飛散の可能性に気づいた。

「ケレン」とは英語の「クリーン(Clean)」が由来の建築用語といわれ、塗装前の素地調整として表面を削ったり、汚れを落としたりする工程。吹き付け石綿などに対して行えば、当然石綿が飛散する。

市は協和町中団地について、「全面除去といいつつケレン除去なので、薄く残っている」(同)と説明。これは明らかな石綿除去だ。1994年の施工当時、安衛法特定化学物質障害予防規則(特化則)では「湿潤化」しか規定がなかった。これでは周辺への飛散を防ぐことは困難とみられ、居住者が滞在していれば、石綿を吸ってしまった可能性が高い。

また塩穴団地の改修で市は、「汚れやゴミをブラシでとっただけ。除去はしていない」(同)と主張。しかし金属のワイヤーブラシで表面をこする素地調整は石綿を高濃度に飛散させることが知られ、事実上の除去作業である。こうした基本すら知らないことも、市職員の知識不足を露呈しているといえよう。当然ながら石綿飛散やばく露が懸念される。

1995年に特化則で作業の届け出や作業場の隔離、1996年に大防法でそれらに加えて集じん装置の使用も義務づけられた。1999年の塩穴団地の改修では、法的には作業の届け出のうえで、ほぼ現在と同様の飛散防止措置が必要だったはずだ。しかし、当時は石綿対策のない工事が珍しくない時期で、現在でも市側が「除去」と考えていないことからも、適切な対策がされたのかきわめて疑問である。

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