石綿含有でも「規制対象外」?
一方、市は、規制対象外だった可能性を挙げる。
1975年に石綿の吹き付け作業が禁止されたが、当時は基準が(重量の)5%で、これを超えた場合に「石綿含有」とされた。それ以降も吹き付け以外では、発がん性がより高いクロシドライト(青石綿)やアモサイト(茶石綿)を含有する製品が流通。1995年4月にようやく青石綿と茶石綿を含む製品の製造などが禁止され、基準も1%に強化された。現在の0.1%基準になったのは2006年9月からだ。
協和町中団地における1994年の改修当時は基準が5%。市は8月の定量分析から、同団地の吹き付け材の石綿含有率が0.1%超~1.7%と基準以下で、1999年施工の塩穴団地も含有率0.7~0.9%で当時の1%基準に達していないという。
たしかに協和町中団地の改修時は、設計図書で石綿含有の有無が明らかにならなかった場合の分析することも定められていなかった時期でもあり、おそらく石綿扱いで施工されなかったと見られる。
市によれば、両団地の改修工事は、いずれも石綿含有バーミキュライト吹き付けの上に「軽量吸音材吹き付け」を施工するもの。学校や自治体庁舎の外壁などに多用されているザラザラした手触りの「リシン吹き付け」のことだという。
今回市は、国際標準の定性分析法「JIS A 1481-1」で改めて吹き付け材を層別に調べ、表層のリシン吹き付けから石綿は不検出で、下層のバーミキュライト吹き付けのみ白石綿を検出した。ところが定量分析で採用した「JIS A 1481-3」では、試料全体をすりつぶして分析するため、結果としてこれら2つの建材が混ざった状態で含有率を調べており、石綿不検出の建材で“水増し”されたことになる。
市はこうした詳細を理解できておらず、塩穴団地での0.7~0.9%が当時の1%基準内の可能性があると説明するのだが、実際には水増しにより、含有率は本来より低くなっているはずだ。
協和町中団地で1.7%検出した1階機械室天井は、改修工事を未施工というから、竣工時の含有率に近いとみられる。定量分析のX線回折における試料や分析の揺れを考慮しても5%は超えない可能性が高いだろう。一方、石綿含有率0.7~0.9%という塩穴団地は、水増し分を考慮すれば、まず間違いなく当時の基準1%を超えるはずだ。
市に当時の改修時にどのような石綿対策を講じたのか尋ねたが、残っている資料は改修時の設計図書だけで、「(石綿関連の)記載もなくて、(適切な対策がされたのか)明確に確認はできなかった」(住宅改良課)と明かす。
当時の規制においても、法違反の施工だった可能性があるということだ。























