過去の石綿ばく露「知らせるべき」

堺市は、一度報道発表しないと決めた吹き付け石綿などの見落としについて、2025年3月の市議会で長谷川俊英市議に批判され、改めて報道提供の方針に転じた。今回の発表はそうした反省に基づく。

見落とし発見から公表まで半年かかったことはやはり批判されなければならないが、一定の検証も試みているところは一応評価できる。

市は、「入居者に正確な情報を丁寧に説明することが大事と考えまして、測定結果、今後の対応についてさまざまな検討をして、専門家の意見をいただきながら、(今後必要になる可能性がある)部分的な改修や今後の管理について検討していたため時間が掛かってしまった。ご批判は受け止める」と釈明した。

ただし、2005年調査における見落としが抜け落ちていることや、過去の改修におけるばく露の可能性について説明がないことは不十分といわざるを得ない。

当時は基準内で石綿と認識されていなかったとしても、改修時にケレン除去したり、金属ブラシでこすったりすれば、相当高濃度で石綿が飛散するし、それを吸ってしまう危険も生じる。昨年の市議会では、まさに今回のような問題まで含めて、危険性を当時ばく露した可能性のある人びとに知らせることの重要性が指摘され、それを受けて市は方針転換したのではなかったか。

堺市民で被害者団体「アスベスト患者と家族の会連絡会」世話人の古川和子さんに、改修時のケレン除去や金属ブラシによる清掃について伝えると、「石綿をまき散らしているじゃないですか。清掃だからといっても、金(属)ブラシでこすったら飛散するのは当たり前ですよ」と驚いていた。

そのうえで古川さんはこう市に対し、求めた。

「中皮腫(肺や心臓などの膜にできるがんで非常に予後が悪い)を発症したけど、どこで石綿を吸ったかわからない人が少なからずいる。いろんなところで少しずつ吸っていて、その結果発症している可能性もあります。石綿にはこの濃度までのばく露なら安全という『しきい値』がないのだから、たとえ当時は基準内だったとしても、いま現在は石綿含有がわかっている以上、そういった情報はすべて本人に知らせるべきです」

石綿飛散・ばく露のリスクを伝えるための報道発表のはずだ。それが今回の発表でも不十分だった以上、市は再調査のうえで追加発表すべきだ。

【関連写真】4度にわたって見落とされていたアスベスト含有吹き付け材

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