縫い目は水や有害物の侵入を防ぐ「シムテープ」を熱圧着しており、針穴からの微粒子の侵入も抑えるという(日建リース工業提供)

◆冷却機能の性能は?

気になるのは、有害粉じんからの防護性能と冷却性能だ。

防護服の生地は、摩擦に強いスパンボンド不織布の上に防水浸透通気フィルムを貼り合わせたSF素材を使用。同社ウェブサイトは、欧州連合(EU)の化学物質規制・REACH規則で定める「高リスクの懸念物質(SVHC)247種 他、多くの国際規格に合格した高性能素材」で、「最大限の安全と安心を提供します」と謳う。

また、有害粉じんからの防護性能について、適合規格として日本産業規格(JIS)の「JIS T 8115 タイプ5・6、EN ISO 13982-1、ISO 16604 クラス6、EN 1073-2 クラス1、EN 14126」と列挙している。ただしこれらは「自主適合」と呼ばれるもので、事業者が自主的に検査して適合性を謳う仕組みだ。

防じんマスクと違って防護服に国家検定はないが、その代わり、第三者機関(登録認証機関)による適合性認証がある。石綿除去などで使う「JIS T 8115」の第三者認証を取得しているのは、随時更新しているという日本産業標準調査会(JISC)のウェブサイトによれば、2026年10月22日現在、旭・デュポン フラッシュスパンプロダクツだけだ。

それ以外の事業者の製品はすべて自主適合であり、第三者による認証ではないことに注意が必要だ。こうした自主適合製品では検査結果が定期的に更新されない場合もあり、その場合には消費者が自ら事業者に対してデータの提供などを求めて継続的に適合性を確認する必要がある。

本製品も自主適合データを参照するほかないのが現状だ。販売元の日建リース工業は、製造元である韓国の防護服生地大手の化学メーカー、UPC Ltd.が今後、JISの第三者認証取得の方針と説明しており、今後の動向が注目される。

もう1つ重要なのは、本製品の売りである冷却性能だ。ペルチェ素子は電流を流すと片面が冷却され、マイナス40℃ほどまで温度が下がるという。しかし反対面からそれだけ放熱される仕組みでもある。

ペルチェ素子の冷却プレートは基本的に接触により冷却効果を得る。最近では持ち歩き可能なハンディファンに搭載されているものも散見されるが、冷やした分だけ反対側を暖める構造から、冷気と暖気をともにファンで送風してしまうため、冷却効果に疑問が呈される場合がある。

じつは本製品もその構造に違いはない。

腰の左右に装着された冷やす吸気ユニットは、外側からHEPAフィルター、電動ファン、ペルチェ素子の冷却プレートの順に連結され、冷却プレートのわきを通って空気を防護服内に引き込む。その際、ペルチェ素子の放熱側に触れた空気も取り込んでしまう欠点がある。

冷却プレートが腰に接触すれば、間違いなく冷却効果が得られるはずだが、防護服内を陽圧にする構造のため、残念なことに基本的に接触する構造になっていない。質量保存の法則により、冷やされたのと同じだけ暖められた空気が取り込まれるとすれば、冷却効果が得られない可能性がある。

だが実際には冷却されるという。

開発したカタルシス(東京都福生市)代表取締役の米山裕治氏によれば、同社の簡易実験で屋外1時間以上放置した際に40.6℃だったが、本製品を稼働させると内部は36.6℃に下がったという。

また、実際に作業者に装着してもらった実験でも、冷却機能のない同じ生地の防護服では汗だくになる環境だったが、本製品の場合は、動き回っても「(防護服の空気が回らない)顔以外は汗ばみもしなかった」と米山氏は説明する。

防護服の外側に面したプラスチックの外装も相当熱くなるということから、そこからの排熱が意外とあるのかもしれない。また、冷却ユニットは陽圧化により基本的に作業者の腰部に密着しない構造だが、作業などで動き回ることで接触することがあると同氏は話しており、これも体感温度を下げているのだろう。むしろ動き回るほうが防護服内の空気がより排気され、涼しくなるのだという。

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