日本代表、空港に到着。お疲れさまでした。

大人げないぞ、イラン人!

18:05分、キックオフ。

日本人席は、向かって右半分が青一色に統一された日本からの遠征サポーター、左半分が服装もばらばらな在留邦人という配置となった。両者の間には明らかな温度差が感じられる。

在留邦人にも熱烈なサッカーファンはいるが、「せっかくの機会だから」的な見学派が多数を占めるのは否めない。一方で、日本から 10数万円も払ってこの試合だけのために遠征してきたサポーターたち。両者の間に温度差があるのは仕方がないことだが、在留邦人側に身を置くわたしとしては、ついひとこと言い訳したくなる。ハンドマイク片手に指揮をとる3人の応援団の一人でも在留邦人側に足を運んでくれたなら、その温度差がもう少し埋まっていたのは確かである、と。

前半25分、イランに先制点を取られてしまった。イラン人たちが必要なとき以外立ち上がらない(さすがに疲れが出はじめているのかもしれない)のに対し、日本人は遠征組も在留組も総立ちで声援を送り続ける。

日本のファインプレーやラフプレーのたびに2階席から物が降ってくるのは困ったものだった。そのうち左右のイラン人観客の挑発に中指を見せつけ睨み返す日本人も出てきた。

後半21分、MF福西が至近距離から左足のボレーシュートを決めると、ゴールの喜びと同時に、わたしたちは反射的に頭上後方を振り返る。案の定、ペットボトルやらアイスクリームやら、降ってくる、降ってくる。

しかし、その9分後の後半30分、またもやイランFWハシェミアンのヘディングシュートが決まり、イランにリードを許してしまう。一斉に左右のイラン人観客から「ザマミロー!」の罵声の嵐とともに、上から物が……。

投げ返したら倍になって帰ってくるのが分かっているので、くやしくでも誰も応酬しない。グラウンドにはときおり、韓国戦に使われたあの手製の爆竹が投げ込まれ、10万人の喚声にも劣らない爆音と黄色い噴煙を上げている。あれが日本人席に落とされないことを祈るばかりだ。

日本人観客は、ハーフタイム以外腰を下ろすこともなく、90分間総立ちでの応援を続けたが、その願い届かず、イラン1点リードのまま試合終了を迎えた。
イラン人観客は右手でVサイン、左手で人差し指一本を掲げ、2竏窒Pで勝利したことを日本人観客に誇示して見せ、「ザマアミロー!」「参ったかコノヤロー!」と目を剥いて挑みかからんばかりである。自分たちの10分の1の人数にすぎない相手に対して、この手心のなさ……。

帰りの道は大渋滞し、日本人会のバスはしばしば興奮冷めやらぬイラン人たちに取り囲まれた。相変わらず2竏窒Pと指で誇示するものもいれば、日本へ帰国するツアーバスと思ってにこやかに手を振ってくれるものもいる。

娯楽そのものの少ないこの国にあって、サッカー観戦は丸一日を費やし日ごろの鬱憤を晴らすお祭りなのかもしれない。だとしたら、きっと最高の祭りになったことだろう。身を切るような寒さのなか、帰る足もない彼らは、もうしばらく祭りの余韻に浸っていたいのに違いない。

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