
パレスチナへの支持と反米、反イスラエルを世界に呼びかける世界ゴッツの日の行進(写真は2008年)。イラン各都市でパレードが行われ、近郊から多くの人々が動員バスで参加する。2008年までは平和なお祭りだったが、大統領選挙後に騒乱が起きた2009年は、改革派のデモを警戒し厳重な警備が敷かれた(撮影筆者)
◆世界ゴッツの日(上)
日本での一時帰国を終え、私は9月上旬、テヘランに一人戻ってきた。今回は妻と息子を少し日本に長居させることにし、たった一人でのイラン帰国となった。一週間後には世界ゴッツの日(※訳注参照)が迫っていた。
つねに頭の片隅にあるのは、6月15日のデモ以来引きずっていた後味の悪さだ。あの日、市民に向け発砲が始まるや、ほとんど思考停止で群衆とともに一目散に逃げ出した自分。現場を離れた後、広場に向かう治安部隊とすれ違ったのに、彼らがこれから行う「鎮圧」を目撃するため広場に引き返そうなどとは露ほども考えなかった自分。代わりに私の頭にあったのは、家で待つ家族の笑顔だった。