【「いつも渋滞のテヘラン首都高。ガソリン配給制は交通渋滞と大気汚染にも効果的だろう】

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APN_iran_banner020_tehran<イラン核騒動は米欧によるいじめだ>
その1 核騒動は米欧による情報操作といじめだ ~イランの言い分を考える~

2月初旬、テヘラン市街の公園では早くも花壇の植え替え作業が始まっている。市がせっせと花壇や街路樹の根元に堆肥を施し、花々とともにノールーズ(春分の日に始まるイランの新年)を迎える仕度を始めているのだ。私が通う大学院でも、どこからともなく堆肥の香ばしい匂いが漂い流れ、春を迎える準備が進められているようだった。

前期試験が終わったばかりの閑散としたキャンパスで、偶然クラスメートのひとりハサンと出くわした。彼は私を見ると、にやりと笑って口を開いた。
「サラーム、元気か? 昨日、日本は賛成票を入れてくれたなあ。日本人ってのは、ちょっと昔に原爆落とされたこと、もう忘れちまってるのか?」
昨日2月4日のIAEA(国際原子力機関)の緊急理事会において、日本を含む27カ国がイラン核問題の安全保障理事会への付託に賛成票を投じた。

「安保理への付託」という言葉が、三年前のアメリカによるイラク開戦に道を開いた安保理決議1441を連想させるように、この言葉はこれまで数年にわたってイランへの脅し文句であった。それがとうとう現実になってしまった。もちろん、そこで即イラン攻撃が審議されるわけではない。

まずは経済制裁からじわじわと始まることになるだろう。いずれにしても、これまでIAEAの枠内の問題であったイラン核問題が、安保理という国際舞台で料理されることになったのは、イランにとっては致命的である。IAEAでの協定は決して義務ではないが、安保理での決議は、違反すればすなわち国際法違反として制裁の対象となる。

「いいや。日本人は原爆を落とされたことを忘れてはいないよ。戦争を早く終わらせるためだったとアメリカは言うけど、結局は実験材料にされたんだ。それは一つの歴史的事実として忘れないけど、いつまでも恨んでいたって仕方ない」
私がそう言うと、彼は鼻を鳴らすようにこう答えた。

「そうだな。それに、原爆2発も打ち込まれて戦争にも負けて、国は米軍基地でいっぱいだけど、最後は経済で勝ったんだしな」
彼が言いたいことは分かっていた。この世界には正義もくそもない。アメリカの言いなりになって繁栄するか、逆らって潰されるかだ。どんなにイランが正義を唱えようと、西側のメディアが伝えるのは、世界の秩序を守るアメリカが、ならず者のテロ国家による核兵器入手を懸命に阻止しようとしている、という構図ばかりである。
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