<核問題、さてイラン国内の雰囲気は?>
その2 風向きの変わったイラン情勢

oomura_060525_01.jpg【伝統楽器サーズを奏でるストリート・ミュージシャン】
4月15日、テヘラン市内で催されていたイラン石油博覧会が盛況のうちに閉幕した。
閉幕後の会場付近は、テヘランでも滅多に見かけないネクタイ姿の外国人ビジネスマンや報道関係者であふれ、その中を一台の大型バスが他を押しのけるように会場を後にした。中国人関係者を乗せた貸切バスである。

時あたかも、アメリカ議会がイランのエネルギー分野に巨額の投資をした外国企業に米国政府が経済制裁を加えることを義務づけるイラン自由支援法案の可決を目指している最中だった。
一方、ウラン濃縮に成功したイラン政府は、度重なる西側からの中止要請や、空爆や小型核兵器の使用も辞さないというアメリカの「心理戦」に屈することもなく、とうとう濃縮作業停止期限である4月28日を迎えた。

この日、IAEA国際原子力機関のエルバラダイ事務局長は国連安保理に報告書を提出した。この報告書の内容如何によっては、安保理における今後のイラン核問題へ対応が決まる。
8ページに渡る報告書には、イランが安保理やIAEAの要請を無視してウラン濃縮を続けたことへの批判はもちろんだが、今年2月までのIAEAに対する協力姿勢への評価と、これまでイラン側から申告された核物質以外、問題となるものは見つからなかったことも述べられていた。

一方、まだ未解決な問題も多く、さらなるイランからの協力と信頼醸成措置が必要であること。そして最後に、IAEAは本件に関し、何ら結論には達しておらず、今後どのよう措置が取られるべきか判断を下すことはできない、と結んでいる。

これに対しイラン政府は即日、IAEAの枠組みにおいてのみ協力を続ける、という声明で回答したのだった。
ところがアメリカの反応は、イランにウラン濃縮停止を求める決議を国連安保理に提出し、もしイランがこれに従わなければ経済的あるいは軍事的制裁措置を許す国連憲章7章を適用する、というものだった。

ほとんどの日本のマスコミもそれにならい、「IAEAの報告書はイランの協力不履行を非難するもので、イラン核問題は今後、法的拘束力のある制裁措置を議論する、新たな段階に入った」
という一方的な主旨でこのニュースを伝え、勝手に話の舞台を安保理に進めてしまった。
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