大村一朗のテヘランつぶやき日記~国家の性格 2009/02/13

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【衛星打ち上げロケットサフィール2号によって打ち上げられる調査衛星オミード(メフル通信)】(撮影:大村一朗)

 
 
 
 
人間に人格というものがあるように、国家にも国の性格、国格とでも呼べるものがあるのだろうか。あるとすれば、それは国民性が反映されたものなのだろうか。

2月2日、イラン発の国産人工衛星オミードが宇宙に打ち上げられ、地球周回軌道に乗った。この国家的偉業に、イラン国内は、2007年4月にウラン濃縮産業化が発表されたときと同様、祝賀ムードに包まれた。

その夜、イラン国内のニュースチャンネルでは、オミード関連のニュースが続いた。ニュースの中では、これも核開発のときと同様、この偉業が、海外からの援助なしで、イラン人科学者らの手によって達成されたことが強調された。

制裁によって、欧米に依拠する最先端技術はイランには入ってこない。そのためイランは、常に自前での技術開発を余儀なくされている。だが、それらは必要に迫られてというより、むしろ、後進性を強いようとする西側諸国を見返してやりたい、イランの実力を認めさせたいという意地から始まっているように思える。

それは、この衛星打ち上げに関する報道からも見て取れる。わざわざCNNやユーロニュース、フランス24、その他世界各国のテレビ局のニュース映像を持ってきては、各国、特に欧米メディアがどれほど大きく今回のニュースを報じているかを取り上げ、「彼らはイランの実力に驚嘆している!」、「彼らはイランの能力を認めた!」と満足しているからだ。

しかし、現実はどうか。数日と経たずに、日本も含めた欧米のメディアからは、この衛星打ち上げに対する懸念の声が伝わってくる。衛星打ち上げ技術は長距離弾道ミサイルに転用できるからだという。そしてイランは声を大にして、この調査衛星が平和目的以外の目的を持たないと強調する。核開発のときと同じ流れだ。

努力は認められず、相手に言いがかりの口実を与えてしまうだけなら、人はやる気をなくすか、キレるかのどちらかだろう。

だが、イランはキレることなく、逆に、いわれなき中傷をバネにして、偏った発展の道を黙々と歩んでゆく。核エネルギー、調査衛星の打ち上げ、ナノテクノロジー、クローン技術、ヒトES細胞、癌や糖尿病の新薬開発……。

そして、新たな成果を出すたびに、西側の評価を期待し、裏切られる。この繰り返しが、イランという国家の独特の性格を、明らかに方向付けていると言えるだろう。
イランは昨日(2月12日)、早くも有人宇宙ロケットの打ち上げ12年計画を発表した。

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