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【自宅前を過ぎてゆくムーサヴィー支持派の行進】(撮影:筆者/テヘラン)

テヘランつぶやき日記

大村一朗のテヘランつぶやき日記~祭りは終わったのか  2009/06/14
14日に勝利の祝祭を挙げたのは、アフマディネジャード大統領だった。この日の夕方、テヘラン中心部のヴァリアスル広場を数万人のアフマディネジャード大統領の支持者が埋めた。大統領は群集に向かって、国民の選挙への大々的な参加を称賛し、感謝を述べた。

同じ頃、投票前にムーサヴィー候補の支持者らがしばしば集会を開いたテヘラン北部のパルクヴェイ交差点では、防具を身につけた武装警官数十名が警戒にあたっていた。
行き交う車の一部は、クラクションを鳴らし、片手でピースサインを空にかざしながら運転している。ピースサインを高々と掲げ、互いにそれを示し合うのが、いつからかムーサヴィー支持者同士の合図になっていた。そしてその手首には必ず、ムーサヴィー支持派のシンボルカラー、緑のリボンが巻かれている。

私を乗せた車の運転手は、「もう終わったのに、いつまで騒いでるんだ」と顔をしかめた。
ハフテティール広場に着いたのは、19時半のことだった。ここから大統領の勝利集会が開かれたヴァリアスル広場まで2キロほどと遠くない。勝利集会の余勢をかって、おそらくそのままここに流れてきたと思われる一千名近いアフマディネジャード大統領の支持者らで、広場は埋まっていた。

ムーサヴィー支持派との衝突を回避するため、100名近い治安部隊も待機していた。しかし、広大な広場を埋めるのは、大統領のポスターとイラン国旗をはためかす大統領支持派ばかりで、緑のリボンを手首に巻いた人は一人として見かけない。これでは衝突は起きようもなく、広場は平穏に保たれていた。

バイクで来ていた40代の男性に話を聞いた。
「この4年間で生活が良くなったとは思えないよ。僕の場合は自営業だから、国営企業の社員みたいに毎年給料が上がるわけでもないに、生活は楽じゃない。でも、アフマディネジャードは好きだよ。あのしゃべり方が好きだな。ちゃんと仕事もしてると思う」
選挙に不正があった可能性について尋ねると、彼は少し考えてから、「正直、分からないね」と正直に答えた。

広場の至るところで、数十人から100人単位の集団が、宗教的な文句やスローガンで気勢を上げたり、広場を練り歩いたりしていた。そのとき、バンという鈍い銃声のような音が一発鳴り、群集が一斉にこちらに向かって逃げてきた。彼らとともに、唐辛子を燻したような空気が押し寄せた。催涙弾だった。

あちこちで新聞や雑誌に火をつけ、小さな焚き火を囲んだ人垣が出来た。みなその煙を必死で浴びている。こうすることで目の痛みが消えるのだ。
「今の催涙弾は誰に向かって放ったものなんですか?」
私も煙を浴びながら隣の青年に聞いた。
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