学生の日(3)

【英国BBCのペルシャ語衛星放送は、市内各地での学生デモを映像入りで大きく伝えた。外国衛星放送の受信はイランでは取り締まりの対象だが、隠れて視聴している家庭は少なくない】(2009/12/7)

テヘランつぶやき日記
大村一朗のテヘランつぶやき日記 「学生の日」(3)  2009/12/10
大学正門を通りすぎた最初のバス停でバスを降り、逆方向のバスに乗り換え、またエンゲラーブ広場に向かう。バスが広場に近づいたとき、外の喧騒の一部から「独裁者に死を!」のシュプレヒコールが上がるが、バスが混んでいて、声の方角がまったく見えない。

トランシーバーを耳に当てながら、その方角に向かって駆けて行く治安部隊の姿が見えたかと思うと、シュプレヒコールはすぐに聞こえなくなった。
プロテクターで身を固めた治安部隊の一人ひとりの丹精な顔つきを眺めながら、彼らが守りたいものは何なのだろうかと思う。美しい言葉の数々でイスラムの理想を語るこの国の政府が、こうまでして守りたいものは何なのか。

僕は、ものの小一時間で広場を後にした。正直、今日はもう限界だと思った。
その晩のBBCやVOAの放送では、学生たちが携帯で撮影した、集会や治安部隊との衝突の映像が数多く流れた。報道では、テヘランをはじめとする各都市の主要な大学でデモが行なわれ、一部では治安部隊との衝突も起こり、数十名の学生が拘束されたという。幸い、実弾による発砲はなく、死者も出なかったという。

今回、当局が市民と学生を分断することのに成功したことが、デモの拡大を防いだことは明らかだ。だが、次回、改革派が街頭に出る可能性がある12月26日、27日のアーシュラー(シーア派3代目イマーム・ホサインの追悼行事)では、そうもゆくまい。
イランで最も激しく、扇情的で、大規模なこの国民的行事が、反政府運動の色を帯びたとき、果たしてどうなるのか。あるいは、追悼行事という性格上、改革派がそれを利用することを控えるという可能性もあるが……。(おわり)