【昨年6月の大統領選挙投票直前のムーサヴィー派集会にて。あの頃からすでに、ムーサヴィーが選挙で負けるようなことがあれば内乱が起きるだろうと指摘されていた)】(撮影:筆者)

テヘランつぶやき日記
大村一朗のテヘランつぶやき日記 ・新聞セタレ・ソブフより~事態を見守る保守派議員たち(3)  2010/02/05
前回に引き続き、セタレ・ソブフのインタビュー記事を掲載する。

ハミッドレザー・フォーラードギャル
ムーサヴィーがこの声明の中で政府を公式に認めたのは前進だが、アーシュラーの反乱者たちを「神を求める者たち」などと名付けたことは後退だ。反乱者たちは、選挙でムーサヴィーに投票した者たちではなく、構造破壊者であり、体制の原則に反対し、選挙を口実にしているだけの者たちであることを、ムーサヴィーは知るべきだ。ムーサヴィーはゴッツの日以降、反体制的なスローガンを掲げた者たちと決別すべきだったが、そうしなかった。彼らはVOAやBBCの呼びかけでデモに参加しているのだ。

ホセイン・ハーシェミヤーン
この声明は話し合いの開始と合意のための良い土台となるだろう。一方の提案をもう一方は即座に拒否すべきではない。(現状脱却には)ラフサンジャーニー師は、聖職者会議の議長であり、 公益判別評議会の議長なのだから、この場に参加して問題を解決できる。ラフサンジャーニー師の言葉や考えは、保守派からも改革派の間からも聞こえてくるからだ。他にも、ムーサヴィーの古くからの友人で最高裁判所所長であり、マルジャエタグリードでもあるアーヤトッラー・ムーサヴィー・アルデビーリーが介入すれば、双方が彼の解決策に耳を貸す可能性は非常に高い。

アリー・モタッハリー
イランのイスラム共和制では、抗議と反対を公式に認めなければならず、さらに重要なことは、このことが信仰心の厚い勢力の側から見られ、受け入れられなければならないということだ。私は一部の考えとは異なり、選挙後の抗議で外国勢力との関係を取りざたされている人々を、アメリカやイスラエルの代理人とは思っていないし、彼らは小さな過ちおかしたにせよ、体制とイスラム革命の原則、そして法学者の統治に忠実な人たちだと信じている。

(選挙後の最高指導者の金曜礼拝での呼びかけを無視して抗議を続けた者たちについて)もし一人の人間が、最高指導者のある考えに同意しなかったとしても、その人物が法学者の統治に反対していることにはならない。我々は物事を見極めなくてはならず、今回の出来事は一方的に起こったものではないことに留意しなくてはならない。

国営メディアは、抗議者自らがその行動の理由を語れるように取り計らわなければならない。あの少女の追悼集会についても、彼らは語るべきことがあっただろう。抗議者に対する体制側の振る舞いも良くなかった。拘束の拡大と長期化、過激な暴力と国営メディアの偏向性。国営メディアは当初からもっと自然にこの流れを報道することが出来たはずだし、それを収束させることも出来たはずだ。

すべての原因は選挙戦でのテレビ討論にあり、問題の解決には、抗議者たちのリーダーも大統領も、双方が謝罪しなければならない。もちろんこの騒乱の両者の責任は同等ではないが。あのテレビ討論は国民と体制を引き裂いた。

これは両者の恨みであり、私は決して一方を罪人とは見なさない。一方はこうした理由から、相手を革命体制から失脚させようと望み、シュミレーションをしている。こうした者たちは彼らの失脚を、(ホメイニー師の後継者争いに敗れた)モンタゼリー師の失脚になぞらえているが、私はまだ問題は彼らの失脚にまで至っていないと思っている。

長期にわたって、根拠もなく人々を拘束するのは何のためなのか。ムーサヴィー氏に投票したことや、彼の選挙本部で働いただけで、なぜ逮捕しなければならないのか。こうした批判する空気を閉ざすことや、新聞の廃刊は何のためか。両者とも我を押し通しており、革命体制を憂う者達はどちらの側にもつかず、事態を見守っている。問題解決の唯一の道は公平さだ。双方に対して公平に接することが、社会に平穏をもたらす。
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保守派国会議員の意見をこれまで2回に渡って掲載してきたが、そもそも現在の保守派は、おおまかに言って、アフマディネジャード派と、反アフマディネジャード派の二つの勢力に分かれており、今の第8期国会では、反アフマディネジャード派が大勢を占め、大統領や政府と事あるごとに対立している。そうした背景から、国会でこのようなインタビューを行なえば、反政府的、むしろ改革派に同情的な回答が多く寄せられるのも不思議ではない。その同情が本心からなのか、政治的な立場を反映したものなのかは分からないが。
いずれにせよ、どれほど国会で反アフマディネジャード派が多数を占めようが、彼らに行政権はない。彼らの中立的な意見が、短期的に見て、政府の徹底的な弾圧姿勢に変化を及ぼすことはないだろう。
2月を間近に控えたイランでは、昨年6月の抗議デモでの拘束者のうち11名に死刑判決が下り、1月28日には早くも二人の死刑が執行された。2月12日のイスラム革命勝利記念日を前にしたこのタイミングは、意図的としか思えない。当然、改革派からは、2月12日に大規模な抗議デモが呼びかけられている。(おわり)