大村一朗 テヘランの風~経済大改革に挑むイラン 静観する市民(3) 2011/02/12
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【路線乗合タクシーが発着するタクシーターミナル。ガソリン価格は4倍に増えたが、タクシー運賃は、政府からの通達で目下2割増しに抑えられている。今後段階的に値上げされる予定】(撮影:大村一朗)

【路線乗合タクシーが発着するタクシーターミナル。ガソリン価格は4倍に増えたが、タクシー運賃は、政府からの通達で目下2割増しに抑えられている。今後段階的に値上げされる予定】(撮影:大村一朗)

こうした様々な問題や、先行きの不透明さにもかかわらず、現在のところ、この経済改革は国民の多くから支持されている。理髪店を営むホセイニさん(32)は、「大量のナンを買い、食べきれないと捨てていた金持ち達も、今後は節約を学ぶだろう」と語る。

また、建築学を学ぶ女子学生(21)は、「車を複数所有する人が補助金で安く抑えられたガソリンを大量に消費する一方で、自家用車を持たない人もいる」と従来の補助金制度に疑問を呈する。

国営の放送メディアしかないイランでは、どのチャンネルを回しても、この法律が富の公正な分配というイスラムの理念に沿ったものであり、いかに国民生活の改善に繋がるものかを滔々と語る専門家の姿が映る。人々の意見は、そうした官製メディアから多分に影響を受けている。

とはいえ、多大な痛みを強いるこの改革に、海外メディアが懸念する暴動はおろか、抗議デモ一つ起きないのはなぜなのか。国営企業に勤めるバクティヤリさん(25)は、その問いに語気を強めて答える。

「結果は誰にも分からない。もしかしたらこの改革で国はもっと発展するかも知れない。試してみなければ、その可能性すらない」。
核開発による経済制裁に加え、20%を超える失業率とインフレ、西欧から強いられている不当に低い国際的地位......。現状に対する鬱積した不満を胸に、イラン人はこの経済改革に一縷の望みを託している。(了)
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