【ラマザン月やアーシュラーなど、主に宗教行事で食べられる料理ハリーム。羊を骨ごと何時間も煮込んだ粘り気のある濃厚スープ。シナモン、砂糖をかけて食べる(撮影:筆者)】

teheran_diary0001大村一朗のテヘランつぶやき日記 イラン断食日記(3)

断食月ラマザーンが始まって7日が過ぎた。
最近では、ラマザーン月の健康管理を促す記事をよく目にする。ただでさえ厳しい断食月が、最も日照時間の長い真夏と重なる今年は(イスラム暦の1年は西暦より11日短いため、行事も毎年11日ずつずれてゆく)、特に水分の補給に気をつけなければならない。

あるインターネットの記事には、日没の断食明けから翌朝の断食開始までに、コップ8杯から12杯の水を飲みなさいと書かれている。それはちょうど、断食でなければ日中の間に飲んでいるはずの水分に相当する。乾燥肌の人や、唇が荒れやすい人には特に注意が促されている。

断食明けの軽食エフタールで取る食べ物にも注意が必要だ。まずは糖分を接種すべきだが、砂糖からではなく、ハチミツやナツメヤシの実といった自然の糖分を接種するのが望ましい。エフタールでよく食されるハーブの煮込みアーシュレシテは、実は油っぽいのでエフタールにはあまり適さないという。

この一週間、特にそうした事柄に注意してきた訳ではなかったけれど、幸い体調を壊すこともなく、やってこれた。強いてあげるなら、職場で襲ってくる睡魔にどうしても勝てないことだろうか。ただの睡魔ではなく、めまいのようなものを伴う異常な睡魔だ。コーヒーを飲むことも、タバコを吸うことも出来ないため、対処のしようがない。それは僕だけではないようで、社内では、あちこちで机につっぷして寝ている人がいる。みんな眠いのだ。
断食に伴う体調変化に身体が順応するまで1週間ほどかかるというが、現在、この睡魔が収まる気配はない。

そしてもう一つは、心の問題だ。空腹は確実に人をいらいらさせる。赤の他人にそれを爆発させることはないが、家に帰ると、ついつまらないことで家族に声を荒げてしまいそうになる。

心をコントロールし、本能的欲求に打ち勝ち、忍耐強さを身に付けることは、ラマザーン月にイスラム教徒に課せられた重要なテーマだ。忍耐強くあるだけではなく、進んで善行に努めるべきとされているが、実際、言うほど容易いものではない。

断食と言ったところで、自分など所詮、空調の効いた快適なオフィスでデスクワークをしているだけで、その苦労など、炎天下で肉体労働をしている人の比ではない。
最後に。断食を開始してから、体重が面白いように下がってゆく。64キロだったのが、現在60キロ。どこまで下がることだろう。妻が羨望の眼差しを向けている。

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