イランで、国内独自のインターネット網を設置する動きが加速している。その一環として、国内の全てのインターネットカフェにこの独自システムへの参入を義務付ける計画が発表された。イランの準国営メフル通信が26日に伝えた。
イランはかねてより、ポルノサイトはもちろん、反体制的と見なされるウェブサイトの閲覧を禁止し、フィルターをかけることで多くのサイトをブロックしてきた。

数年前からは、国内独自のインターネット網を設置する計画を掲げ、海外のインターネット網の完全な遮断を目指している。「アラブの春」でフェイスブックやツイッターなどのSNSが演じた役割や、イランの核施設などに加えられたサイバー攻撃により、独自のインターネット網の構築に向けた動きが加速し、今年4月には、2013年3月からの運用開始が報じられていた。

イランの文化イスラム指導省・情報デジタルメディア技術開発センターのハサン・アリーザーデ所長は、国家ネットワークの運用開始に向け、国内全ての「カフェネット(インターネットカフェ)」と「ゲームネット(ゲーム専用インターネットカフェ)」が監督下に置かれると発表し、「この業界の全ての経営者、また今後この業界に参入しようとする者は、まもなく通達される新たな規約のもとで活動しなければならない」と語った。

その一方で、全ての「カフェネット」と「ゲームネット」は、国家独自システムに加わることで、これまで制限されていた高速接続の利用が可能になるという。同所長はこれについて、「ゲームネット間でゲームを共有しあい、様々な州に住む利用者たちが互いにオンラインゲームを楽しむことが出来るようになる」と述べ、「国家インターネット網に加わり、監督を受けることは、この業界の関係者に経済的効果をもたらす」と強調した。

アリーザーデ所長はさらに、「新たな規約では、ゲームネットで提供してはならないゲームのリストが発表されるだろう」とし、「警察とも協議が行われており、こうした場所の利用に関する安心感を、業界の中でも、家族の中でも高めることを意図している」と述べた。

イランでは、「ゲームネット」が子供たちの放課後の溜り場となっており、暴力的な場面が含まれるゲームも多いことから保護者の間で問題視されている。イランの国立コンピューターゲーム財団は、海外の「有害」ゲームに対抗する目的で、自国の近代史や伝説をモチーフにしたコンピューターゲームの制作を指揮してきたが、今回、これまで野放しにされていたインターネットやゲームに関する公共スペースを監視下に置くことで、風紀や言論の取締りを強化するとともに、高速接続を売りに、ネット空間を徐々に国家ネットワークに組み入れてゆく意図が伺える。
【大村一朗】