◆恒例、夏の風紀取締りキャンペーン
8月も半ばを過ぎた、ある日のことだった。表通りで妻と立ち話をしていたとき、突然後ろから乱暴に肩をつかまれた。驚いて振り返ると二人組の兵士が立っていた。
「歩道で話をするな!」
最初は何を言われているのか分からなかったが、30秒ほどしてようやく、「公共の場所で女の子と楽しそうに話をするな」という意味だとわかった。

そこは私が通う語学学校からさほど遠くないタジュリーシュと呼ばれる閑静な山の手の一角で、すずかけの並木が連なる表通りには、おしゃれなブティックや気の利いた雑貨を売る高そうなお店が並び、外国人の姿も珍しくない。

テヘラン南部のモスクの前ならいざ知らず、このタジュリーシュで、しかも外国人の私たちが、ただ歩道で立ち話をしていたぐらいで、しかも実際には楽しく談笑していたのではなく、つまらぬことで口論していたというのに、いちいち肩をつかまれ注意を受けたことが意外でならなかった。

当局による風紀指導が厳しくなってきたという話は、最近あちらこちらで耳にしていた。週末の夜、ドライブ中の若いカップルにその関係を問いただしたり、タクシーを停めてパーティー帰り(テヘランの若者は週末によくホーム・パーティーをする)の乗客をアルコール感知器にかけたり、といった話だ。

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