7月28日、イラン・テヘランで、共同記者会見をする欧州連合(EU)のモゲリーニ外務・安全保障上級代表とイランのザリーフ外務大臣。モゲリーニ上級代表は、難航したイランと欧米諸国の核交渉の調整役として大きな役割を果たした。(イラン・メフル通信のニュースサイトより)

7月28日、イラン・テヘランで、共同記者会見をする欧州連合(EU)のモゲリーニ外務・安全保障上級代表とイランのザリーフ外務大臣。モゲリーニ上級代表は、難航したイランと欧米諸国の核交渉の調整役として大きな役割を果たした。(イラン・メフル通信のニュースサイトより)

 

欧州連合(EU)のモゲリーニ外務・安全保障上級代表は7月28日、初めてイランを訪問し、同国の政府高官らと相次いで会談を行った。これらの会談では、 7月14日にウィーンで交わされたイラン核問題の最終合意の履行が強調され、シリアをはじめとする中東諸問題への協力関係についても話し合われた。イラン の準国営メフル通信ほか、国内各メディアが伝えた。

モゲリーニ上級代表は、7月28日夜に行われたザリーフ外相との共同記者会見で、「核の合意は、始まりであって終わりではない」と今後の協力分野の 拡大を示唆し、「制裁の解除は合意事項の履行とともに実施され、イランと欧州企業に投資のチャンスをもたらすだろう」と、イラン側に合意実現に向けた努力 を促すとともに、経済交流の再開に弾みをつけた。

また、今回の合意がもたらす新たな関係性として、「我々は、シリア問題やテロリズムとの戦いにおける協力関係を開始すべきだ」と語った。

一方のザリーフ外相も、「今後、イランとEUは外務次官級の新たな対話レベルを開始し、いずれは外相級会談を継続できるようにしたい」と関係レベル の強化を語り、「こうした上級者レベルの協議の中で、地域問題に注目してゆくことで合意した」、「今日、我々の地域で暴力と治安悪化をもたらしている過激 主義、分派主義、テロリズムの問題は、同時にEU諸国においても暴力と紛争をもたらしており、これは我々の共通の懸念である」とし、中東での紛争について 相互に危機意識を共有していくことで合意したことを明らかにした。

また同日、モゲリーニ上級代表とロウハニ大統領の会談も行われた。この中でロウハニ大統領は、今回の合意について、「国際問題を解決する外交の力を 知らしめた」「対話は政治問題を解決しうる」と評価しつつ、「合意を得るために努力したのと同じように、我々はその完全かつ正確な履行に集中すべきであ る。そうすることで我々も世界もその成果を活用できる」と今後のEU、イラン双方の努力の重要性を強調した。

さらに、「我々のすべては、テロリズムとの戦いや罪のない人々への戦争や流血を止めるという人間性と人類の理想に対して重い責務を追っている。合意 を履行するもう一つの成果は、この責務を果たす上での協力である」と語り、シリア問題をはじめとする中東各地での紛争解決に向け、米欧との協力姿勢を明ら かにした。

イラン政府はこれまで武装組織「イスラム国」(IS)への反対姿勢を明確に示し、独自にイラク政府やシリア政府に軍事支援を行っていることがイラン 国内のメディアでも報じられているが、公式にはこのことを認めておらず、この分野で米欧との協力も行っていないとされてきた。(アジアプレス・大村一朗)