ナジバが嫁いだのはパシュトゥン人の保守的な農村だった。写真はワルダック近郊に広がる農村地帯。(2002年8月)

私はブルカをかぶって車から降り、家のなかにはいった。
叔父は家の主と男たちの部屋へ向かう。

私と女性通訳は、奥まったところにある女性用の別室へ通された。
10人ほどの女性たちが、私たちの突然の訪問に驚きながらもあたたかく迎えてくれた。

ひときわ笑顔が愛らしい女性が、ザルミーナの長女ナジバ(20)だった。
ザルミーナに似ていると叔父から聞かされていたので、その面影を彼女の顔から感じとろうしてみた。

彼女は農業を営む夫と二人の子ども、夫兄弟の家族の30人でひとつの家に暮らしていた。
5年前、ザルミーナが刑務所に入ってすぐに結婚が決まったという。

ナジバは兄嫁たちに命じられ、お茶やお菓子の用意に忙しくうごきまわっていた。
私はトイレに連れていってほしい、とナジバに頼むことで彼女ひとりを中庭へ連れだした。

処刑された母親の話で彼女が傷つくようなことはしたくない。
私は慎重に言葉を選びながら、お母さんのことを聞いていいですかと、ナジバにたずねた。

すると、彼女はあっさりとした表情で、いいわよ、と答えた。
ナジバは事件について当時を思いだしながら、話しはじめた。
彼女は事件の第一発見者だった。
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