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【あっさりと甘い桑の実は初夏の風物詩】(テヘラン/撮影:大村一朗)

【あっさりと甘い桑の実は初夏の風物詩】(テヘラン/撮影:大村一朗)

ローブ氏はさらに、
「イランは奇妙な歴史感覚やイデオロギーで凝り固まった人たちに導かれており、(外交的解決は)難しくなるだろう」
と発言している。アメリカ人の若者の75パーセントが地図上でイランの場所を指定できないという、ナショナル・ジオグラフィックによる調査結果が先日メディアに流れたが、他国への無関心と無理解は政治の中枢にも及んでいるのではないか。

大統領を補佐する人間が、近い将来戦争をするかもしれない国に対してこの程度の認識で、果たしてアメリカは正確な情報に基づく合理的な政策の取れる国と言えるのだろうか。私は多くのイラン人のようには楽観できない。
テヘラン中央部のエンゲラーブ広場でピザ屋を営むフサイン氏は、官製メディアの情報統制に縛られない意見を持っていた。

それは、彼の置かれた特殊な環境がそうさせたものなのかもしれない。
「イランの核開発の権利?ま、誰に聞いたって『必要だ、権利がある』って言うだろうな。けど本当は内心どうでもいいと思っているはずさ。核エネルギーがあっても国民1人1人の生活はたいして変わりはしないよ」

≪代替エネルギーとしては?≫
「そもそも石油の輸出による利益は国民の懐には入ってこない。核エネルギーによって国内の石油消費を抑えて輸出に回したところで、どうせその利益も一部の人間が分捕ってしまうさ」
≪電気代が安くなったりはしませんか?≫
「さあね。そんなことより頻繁に起こる停電をなんとかしてほしいよ」
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