小さなころから親と離れて暮らしたために、精神的なトラウマの状態に陥るマオイストの子供もいると聞いた。
昨年、停戦が成立し、和平プロセスに入ってから、ビマラとも何度か会っている。

フィールドでは、ズボンにシャツという男性と変わらない格好だったビマラは、女性らしいクルタ・スルワル姿だった。
今も、夫とは活動する郡が異なるために、家族はばらばらで、娘は妹のところに預けたままである。
しかし、今年10月にロルパの人民解放軍のダハバン駐屯地に行ったとき、ビマラ一家と再会することができた。ダサイン祭で、何年ぶりかでルクムの実家を訪ねるところだという。

「とんぼ返りよ」と言ってはいたが、幸せそうな顔だった。
マオイストと限らず、ロルパやルクムを歩くと、内戦中に配偶者を亡くした人が大勢いる。
ネパール社会のなかでは、女性が夫と死別すると、再婚をすることは非常に困難なのだが、マオイストは夫を亡くした女性に再婚を奨励している。

とはいえ、マオイストは結婚をするときに党からの許可を得ねばならず、しかも、相手が党員でないと許可が出ない。
つまり、以前から結婚をしている人はともかく、マオイストはマオイストとしか結婚できないことになる。
それでも、党内結婚をした人は本当に多い。
彼らにとっても、家族が一緒に暮らせる平和な状態がずっと続いてほしいものだ。

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