図1別紙一覧表図1 法務省と外務省の協議で決まった『実務資料』の非公開部分を示す別紙一覧表。全面黒塗りされている。
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国家が情報を隠蔽するとき

13 黒塗り処理による部分的閲覧
『実務資料』はその後、2008年11月5日に国会図書館が条件付利用の措置をとり、部分的に閲覧できるようになった。インターネットでも利用できる所蔵資料利用検索システムにも、書誌情報が再び載せられた。

しかし、原本が再公開されたのではない。法務省が非公開のままにしておきたいページに黒塗り処理(被覆処理)をして複写したものを、国会図書館が複製して、部分的に閲覧できるようにしたのである。

黒塗り部分が頻繁にあり、全面黒々と塗りつぶされたページもある。さらに、数ページから数十ページにわたって全面黒塗り処理された部分は、製本する際に取り除かれたままだ。それは、全491ページ中75ページもある。

この条件付利用は、法務省からの申出を受けてなされたものだ。申出の内容を知るために、私は情報公開法に基づいて法務省に情報開示請求をした。開示された行政文書は、「資料の利用制限範囲縮減の申出について」(平成20年8月29日付け)といい、法務省刑事局長から国会図書館収集書誌部長に宛てたものである。

そのなかで法務省刑事局長は、『実務資料』が検察官のための内部資料だと前置きして、利用禁止すなわち閲覧禁止の措置を求めた理由を、
「本件資料には、アメリカ合衆国との間の協議の内容や刑事裁判権の行使に関する記載があり、これを公にすることにより、アメリカ合衆国との信頼関係の維持、捜査・公判の適正な運用及び公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあることから、当省において秘扱いの文書として取り扱っており、当省では、こうした秘文書が一般の閲覧に供されることは不適切と判断」したからだと説明している。

そして、これから部分的公開の措置をとりたいとして、こう述べている。
「その後、当省において本件資料を精査したところ、上記のような支障を及ぼすおそれと国民の知る権利とを衡量した場合に、別紙一覧表記載部分については、公開するのもやむを得ないと認められた。しかしながら、同記載部分を除いた部分については、なおアメリカ合衆国との信頼関係の維持等に支障を及ぼすおそれがあり、利用禁止措置を継続することが相当であると認められた。そこで、今般、前記のとおり、利用制限範囲を別紙一覧表記載部分を除いた部分に縮減することを申し出たものである」
国会図書館に非公開要請をして利用禁止にさせたことが明るみに出て、「知る権利」の侵害だと社会的に批判もされた法務省は、批判をかわすためにも何らかの対応をとる必要があったのだろう。
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