そしてとにかく太陽が沈むまで田植えばかりします。管理課に戻ってきたら普通九時になります。そして夜一〇時頃に食事。普段はトウモロコシ飯ですけれど、田植えの時期にはコメも入れてくれます。田植えの時期はくたくたなので食事をしたらすぐ寝かせてくれます。でも担当保安員が眠らせてくれない時もあって、しんどいです。

田植えは戦闘と呼びます。とにかく朝鮮は「××戦闘」が多いでしょ。田植えはいつまで終わらせなければならないと決められるので皆が緊張します。一班五~六〇人が弱っている人を除いて、皆田植えに集中します。一日に一町歩以上苗を植えなければならず、朝から暗くなるまでずっと仕事に集中するので、田植え戦闘が終わると緊張が緩んでほっとします。でも、田植えが終わった途端に死ぬ人が多いんですよ。体が弱っているところに緊張が解けるとだめなんでしょうね。

Q:一日の田植え計画ができなければ殴ったりされますか?
A:殴られることはないんですが、とにかく計画期間内に田植えを終わらせろ、終わらないと管理課に戻さないと言われます。またノルマが達成できないと、私の場合は刑期短縮が一三日分無効になると脅されました(未決拘留期間の刑期算入分のことと思われる)。監獄の中の一三日というのは本当に大きいです。

Q:五〇〇〇名を超える収監者がいるとしたら生産する農産物の量も莫大ですが、それはどこに行きますか?
A:もちろん甑山教化所の職員らにも配給されますが、主に平壌の保安省が持っていきます。

Q:国家に上納はしないのですか?
A:それはよく分かりません。国家にどれくらい上納するとかは。

Q:肥料などの営農資材は、誰が責任をもって供給するのですか?
A:国家から送ってくる肥料は田植えする時一回きりです。あとは養豚する管理課で出る糞尿から堆肥をたくさん生産します。化学肥料はほとんどなくて、除草剤は農作業の初期に少し撒いて、その後は人の手で草を取ります。

Q:田圃では、一町歩当り何トンのコメを生産しますか?
A:一町歩当り六〇トンというノルマがありますが......、収穫の正確な量はわかりません。あんまり気も使わなかった。

Q:冬場はやることがないのでは?
A:冬もやることが多いですよ。堆肥生産や縄を編んだり。とにかく収容者たちに、タダ飯を食わせないから。堆肥を作るのも縄を編む仕事も大変です。
(つづく)
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