第6回 うらぶれた休岩洞の路地裏
カメラは休岩洞(ヒュアム)洞の線路脇を通って住宅地に入った。背の低い「ハーモニカ」と呼ばれる平屋の住宅が並び、みすぼらしい服装の子供たちが遊ぶ。道は未舗装で轍(わだち)ができてしまっている。路地裏は、ここが平壌か思えるほどのさびれぶりであった。
(撮影 リ・ソンヒ 平壌・美林洞区域 2008年12月 01分52秒)

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九〇年代後半の社会混乱の中で、平壌でも多くの餓死者が発生した。その後も今日まで経済の復旧は成らず、最も優待される平壌ですら食 糧配給は遅配欠配が日常茶飯事である。政府の言うことを聞いて配給だけを待っていたのでは飢え死にしてしまう。そんな中で平壌市民たちも、めいめいが創意 工夫して商売に立ちあがった。

寒空の下で、質素な防寒着姿で地べたに座ったり立ったりしたまま商売をしている女性たちを「貧しく可哀そう」な人たちだと見ると、北朝鮮社会を見誤 ることになる。彼女たちは統制が厳しい平壌にあって、経済的に自立して暮らしていくことができる唯一の方法である商売を、しんどいながらも喜んでやってい るのだ。それは、働けば働いただけ実入りが増えるからであり、商売こそが豊かになれる唯一のチャンスだからだ。彼女たちの働く姿は、一定の「経済活動の自 由」を勝ち取って懸命に生きている姿だと捉えるべきだろう。

これまでメディアを通じて我々が見せられてきたのは、特別な平壌、あるいは例外の平壌である。今回のリ・ソンヒの報告にある「一号道路」の外側の民衆の姿にこそ、平均的で平凡な平壌市民の暮らしが見えるはずだ。
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