◆ 他の「優先配給対象」の食糧事情
多くの企業が操業不能に陥り久しいが、その中でも生産を続け輸出して外貨を稼ぐ「優良国営企業」の食糧配給はどうか。
「平安南道の順川地区炭鉱の場合は、昨年まで労働者本人分の配給がトウモロコシで八〇%ぐらい出ていたが、家族分はないのでだいたい妻が商売している。今年に入り配給が一気に減り、三、四月は本人分の配給だけがひと月に一〇~一五日分しか出ていない。現在の炭鉱労働者の平均的な食事は一食をトウモロコシ飯、あとはトウモロコシ粉で作った麺か、粥をすするのが平均的だ。貧困層は一日二食をトウモロコシの粥ですませている。」(キム・ドンチョル記者)

ところが同じ炭鉱労働者でも、国営ではなく小規模な「民営」炭鉱では、食糧として肉まで配給、給料も出ている(詳しくは近日アップ予定の「衰退する石炭産業の現在」を参照)。

咸鏡北道の茂山郡にある北朝鮮最大の鉄鉱山の場合は、労働者本人分が一五~二〇日分程度出ているという。
また、キム・ドンチョル記者によれば、治安機関は配給だけはちゃんと出ていると、次のように述べた。

「警察官や保衛部員には、本人分と家族分の配給が一〇〇%出ている。警察官はいろいろ取締りに出ては賄賂をとる機会が多くて稼いでいるが、保衛部員はそんな機会が少なく貧しいのが多い。」
(つづく)

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