戦闘や砲弾での負傷に加え、食糧不足から栄養失調になる子どもも少なくない。栄養不足で発熱や嘔吐を繰り返し、搬送されてきた幼児。(アレッポ県コバニで12月下旬撮影・玉本英子)

戦闘や砲弾での負傷に加え、食糧不足から栄養失調になる子どもも少なくない。栄養不足で発熱や嘔吐を繰り返し、搬送されてきた幼児。(アレッポ県コバニで12月下旬撮影・玉本英子)

 

4人の医師に加え、看護師、薬剤師数人が、いまも戦火のなかにとどまっている。そのひとり、ヒクメット・アハメット医師(43)はコバニの出身だ。
「毎日、たくさんの負傷者が担ぎこまれる。なかにはイスラム国戦闘員の負傷者が運ばれてくることもある。もちろん複雑な気持ちだが、患者には違いありません。医師として最善の処置をします。とにかくこの戦争を止めさせないと、人も、町も、みんな壊されてしまう」

暖房の燃料がないため、分厚いジャケットを着込んだまま治療にあたっていた。この1か月半、病院に泊まり込みだという。

コバニの人びとは激しい砲撃のなかで暮らしている。国際社会、そして日本の皆さんがこの町の過酷な状況にある住民に少しでも関心を寄せほしい。医師はそう話した。
【玉本英子】

イスラム国に町を包囲されているため医薬品は底を尽きかけている。破壊された市内の薬局などからかき集めてきた薬と、トルコのクルド系人道機関からの医療支援物資で持ちこたえている状態だった。(アレッポ県コバニで12月下旬撮影・玉本英子)

イスラム国に町を包囲されているため医薬品は底を尽きかけている。破壊された市内の薬局などからかき集めてきた薬と、トルコのクルド系人道機関からの医療支援物資で持ちこたえている状態だった。(アレッポ県コバニで12月下旬撮影・玉本英子)

イスラム国は、11月末のコバニでの病院への自爆車両攻撃の動画を公開。小型ドローンによる空撮映像を使い、「殉教戦士の作戦」などと説明している。(イスラム国公表映像より)

イスラム国は、11月末のコバニでの病院への自爆車両攻撃の動画を公開。小型ドローンによる空撮映像を使い、「殉教戦士の作戦」などと説明している。(イスラム国公表映像より)

 

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