佐賀空港へのオスプレイ配備計画に反対の声を上げる地元住民ら(撮影:矢野宏)

佐賀空港のオスプレイ配備計画(上)~九州地方の「防衛拠点」に

国が進める佐賀空港へのオスプレイ17機の配備計画に対し、県内外から1600人が参加した反対集会が4月2日、佐賀市で開かれた。集会では空港の基地化に対する、安全面、経済面への懸念の声が寄せられた。(新聞うずみ火/矢野宏)

◆基地化は建設時の協定違反
地元経済界が地域振興を期待して佐賀空港へのオスプレイ配備を山口祥義知事に進言した一方で、昨年12月に米軍オスプレイが沖縄県名護市で墜落する事故が起きると、県民の間で安全性への懸念が再燃した。「佐賀空港へのオスプレイ配備等反対地域住民の会」(古賀初次会長)は今年3月末に11万筆を超える反対署名を県に提出した。

空港周辺の地権者の多くは有明漁協の組合員である。防衛省が4月下旬に地権者向けの説明会を開く前に、反対集会が開かれた。

大漁旗と「恵の海、宝の大地は渡さない」と書かれた横断幕が掲げられた会場。古賀会長(68)は沖縄でのオスプレイ墜落に触れ、「佐賀県のノリ生産は年に200億円という日本一の実績を上げている。墜落事故が有明海で起こり、油や汚染物質が流出すれば有明ノリと漁業者は死活の淵に立たされる。オスプレイが配備されると環境破壊が進み、生活が壊れていく。国民の命を守り、若い自衛隊員の命を守るためにも佐賀空港を軍事化させてはいけない」と訴えた。

県と漁協の間には空港建設時の1990年に結んだ「公害防止協定」があり、「自衛隊と共用しない」という一文がある。古賀会長はこの協定を根拠に「この約束を踏みにじるなら法的手段に訴える」と力を込めた。

当時、協定の作成・締結に携わった川崎直幸市議(67)はこう振り返る。

「88万県民の佐賀に年75万人の乗降客を見込んだ空港を造っても、4、5年も持たないだろう。そうなると、自衛隊を誘致するはずと考え、組合長に『自衛隊と共用しない』という一文を入れるよう進言した」

川崎市議の父は1939年にソ連軍と軍事衝突したノモンハン事件に参戦、当時の隊長が退却を命じたので生き残ったという。その父から戦争体験を聞かされ、平和を願う思いは今も変わっていない。
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