トラックに載せられ競技場まで運ばれてきたザルミーナ(中央)。両脇は刑務官。競技場は観衆で埋め尽くされていた。(女性人権団体RAWAがひそかに隠し撮りした映像から。1999年・RAWA)

競技場では、すでに窃盗犯の手足切断や、サッカーゴールへの首吊り刑が行なわれていた。
そこにザルミーナを乗せた赤いトラックが入ってきた。

競技場では非情にも、彼女の死刑判決のアナウンスが響きわたる。
グランドのマイクで、男が死刑執行命令書を読み上げる。

「夫を殺した女の死刑を執行する」とスピーカーを通して執行命令書が読み上げられる。(RAWA)

ここで初めて自分がこれから死刑となるのだ知ったザルミーナは、ショックのあまり足がふらつき、崩れ落ちそうになったという。
「私は殺されるのね・・・」
そうつぶやいた小さな声が最後の言葉だった。

シェヒルバヌが彼女の肩をささえてゴールポストの前へ連れていき、ひざまずかせた。
座っている彼女の背後からひとりのタリバン兵が歩みより、十数センチの至近距離で頭に向けてカラシニコフ銃を向けた。
パーンという乾いた銃声が一発。

命令書の読み上げのあと、タリバン兵がザルミーナに歩み寄り、カラシニコフ銃の引き金を引く。乾いた銃声が1発、競技場に響き、執行はあっけなく終わった。(RAWA)

パタンと地面に倒れるザルミーナ。
スタンドの観衆の男たちのなかには「ヒュー」という歓声をあげた者もいたが、女性席には、どよめきもひろがった。
死刑執行はあまりにあっけなかった。

こうしてザルミーナの人生に終止符が打たれ、「夫殺し事件」は幕を閉じた。
刑務所に残されたふたりの幼い双子は、父方の叔父が引き取りに来た。(つづく)【玉本英子】

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(13)娘の最後の日 写真3枚
(12)競技場での公開処刑 写真6枚
(11)カブールの売春婦たち 写真4枚
(10)女子刑務所で 写真5枚
(9)タリバンは巨大な悪なのか 写真4枚
(8)タリバン支持の村に暮らす次女 図と写真3枚
(7)長女が語った意外な言葉 写真4枚
(6)遺された子どもたち 写真6枚
(5)札びらを切る外国メディアの姿 写真4枚
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