刑の執行後、ザルミーナの遺体は市内の病院の遺体安置所に運ばれた。母はここで娘の亡骸と対面する。(2002年カブールで撮影:アジアプレス)

死刑執行後、遺体は競技場から病院の遺体安置所に運ばれた。
翌日、母は安置所で娘の亡骸と対面する。

銃弾で後頭部のほとんどが吹き飛ばされていた。
母は穴のあいた娘の頭のなかに綿をつめた。

「ザルミーナは一族の恥」という家族のなかで、母親だけは娘を悪く言うことはなかった。
美しく、おとなしい自慢の娘だったという。
娘はうその罪をきせられたんだと、しきりに弁護し、娘の名誉を守ろうとする母は、ザルミーナのたったひとりの味方だった。そしてそれは、一家を守ることであったようにも思えた。
母は涙声で語った。

「娘は神に誓っても殺してはいないと言っていました」
夫アロザイを殺したのは実の兄で、土地の問題でもめたことが原因だったという。
話には一貫性がなく、真実を言っているとは私には思えなかった。

母は顔をしわくちゃにして涙を浮かべ、娘は罪をかぶせられたのだと私に繰り返し言いつづけた。
ザルミーナの服や写真は残っていないということだった。
弟が「一族の恥」として捨ててしまったという。

3カ月後に私がアフガニスタンを訪れた時、再び母に会うことはできなかった。
脳梗塞で亡人となっていたのだ。

病気がちでいつも頭痛がするとは話していたが、まさかそんなに重い病気とは思ってはいなかった。
姉は、私がザルミーナのことを聞きにきたせいで母が気を病んで死んでしまったと、強い口調で私をせめた。
こんな急にどうして......。

私はその場にくずれた。
弟は言いすぎだと姉を一喝し、そして最後に私に言った。

「あなたが悪いのではない。母が亡くなったのは悲しいことですが、私たちの人生はすべて神様がお決めになるのです」
私は涙が止まらなかった。(つづく)【玉本英子】

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