日が暮れるに連れ、車の往来が増え、人が増えてきた。(カエリチャ・南アフリカ 2017年/Khayelitsha,South Africa 2017 撮影:岩崎有一)

後日、ムポとともに、東京都江東区ほどの大きさのカエリチャを一望できる展望台に登った。町の中心部に駅舎が見える。いくつかの工場と学校が点在し、スーパーの看板も見つけられた。ここがタウンシップだと知らなければ、一般的な小都市にしか見えなかっただろう。ムポによると、新しく建築中の家屋も多く、地価も家賃も、少しずつ上がり続けているという。

焼いた肉を売る露店から出る煙と匂いが、道を覆い尽くす。ケープタウン中心部には、この匂いは無い。(カエリチャ・南アフリカ 2017年/Khayelitsha,South Africa 2017 撮影:岩崎有一)

しばらくして、現在滞在しているカエリチャ北西部と、駅をはさんで向こう側のカエリチャ東部では、様相が異なることに私は気づいた。西部の家屋はしっかりとしたものが多いが、遠くに見える東部には、小屋(Shack)と呼ばれるトタン屋根の家屋が多い。東側は西側よりも貧しい人が多く暮らしているのかをムポにたずねると、彼女はあくびをしながら、「その通りね」と答えた。

カエリチャ東部にも宿があることを確認した私は、ここでの滞在の後半を東側で過ごすことに決め、宿を移した。驚くことは、まだまだ、続いた。
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