◆ 共存となえ、拡大

063月、艦載機移転の賛否を問う岩国市の住民投票が行われ、「受け入れに反対」が9割近くを占めた。4月の市長選でも、受け入れ反対の井原勝介氏が当選したが、日米両政府は移転に最終合意。反対を訴える岩国市に対し、当時の防衛施設庁は建設中だった市役所庁舎建設のための補助金カットを通告してきた。市庁舎建設への補助金は、沖縄の負担軽減のため空中給油機を受け入れることへの見返りだった。

「国という大きな力に小さな岩国は押しつぶされる」

井原氏は民意を問うため、082月に市長を辞職して出直し市長選にのぞんだが、移転容認候補に敗れた。

「基地と共存」をうたう新市長誕生で、政府は一転、補助金を満額支給。米軍再編交付金の支給も始めた。

10年には住民の悲願だった滑走路沖合移設工事が完了。総面積は1.4倍に拡張され、甲子園200個分の広さになった。それが米軍再編と重なり、基地強化に利用されていく。

14年8月、沖縄・普天間基地から空中給油機15機が移転。昨年1月にはF35Bがアメリカ以外で初めて配備され、今年3月末までに厚木基地から空母艦載機61機の移転が完了する。岩国基地に常駐する米軍機は約120機。沖縄の嘉手納基地を上回り、極東で最大級の航空基地となった。(つづく)

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