◆西サハラ問題はタブーではない

RASDのガリ大統領は、数々の非礼を前にしても席を立つことなく、TICAD7の本会議中の日本滞在を貫いた。TICAD会場では、サーレク外相とバーリAU大使が日本人と会話する姿が何度も見られた。RASD代表団のTICAD参加によって私たちが西サハラに気づく機会を得たことの、意義は大きい。

TICAD7初日の本会議終了後、ロビーで談笑する西サハラ代表団。(8月28日撮影:岩崎有一)

主権回復だけでなく、モロッコによる資源の奪取、拷問や弾圧など、西サハラは多くの問題を抱えている。西サハラを考えるうえで、日本における最大の問題は、あまりに知られていないことにある。遠い地の遠い問題とされ、繊細な話題として西サハラを遠ざけてきたのはこちら側だ。

非礼に憤りながらも、西サハラの代表団はこの問題と西サハラの民サハラーウィの存在の周知に身をもって努めていた。西サハラ問題に触れたっていいのだと気づかせてくれた。そんな西サハラ代表団の初来日だった。

これまでの開催ペースに基づけば、次回の日本でのTICAD開催は6年後となる。2025年に、再び、より多くのサハラーウィの声を聞きたい。(終わり)

笑顔をたたえTICAD会場をあとにするサーレク外相(8月28日撮影:岩崎有一)

岩崎有一
ジャーナリスト。1995年以来、アフリカ27カ国を取材。アフリカの人々の日常と声を、社会・政治的背景とともに伝えている。近年のテーマは「マリ北部紛争と北西アフリカへの影響」「南アが向き合う多様性」「マラウイの食糧事情」「西サハラ問題」など。アジアプレス所属。武蔵大学社会学部メディア社会学科非常勤講師。