◆コロナ沈静化は事実

平壌や他地域の状況は情報不足で不明なことばかりだが、北部地域の取材協力者4人の証言から、5月以降にコロナ罹患者が爆発的に急増して集団免疫を獲得したような状態になり、8月末時点でコロナの流行が鎮静化したのは間違いないだろう。

協力者たちの報告によれば、少数だが発熱者や自宅隔離者は継続して出ており、「感染者ゼロ」はありえないだろうが、コロナ感染拡大の峠は越えて安定した状態にあると思われる。

問題は住民たちの打ちのめされた暮らしの再建だ。この2年8か月間の金正恩政権の防疫対策は明らかに過剰で多大な副作用があった。ゼロコロナ政策を徹底させるため、2020年1月末から国境を封鎖して中国との貿易を大幅に制限、国内の移動や物流も大部分が止まり、経済麻痺と物資不足が深刻化した。

薬品不足で多くの高齢者や幼児が死亡し、現金収入を激減させた庶民が困窮、栄養失調に苦しむ人が大量に生み出されるなど、明らかな人道危機が発生している。(了)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

北朝鮮地図(製作アジアプレス)

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