国営商店と市場で販売されていた海産物の価格一覧。2023年11月末から12月初旬にかけて調査した。(アジアプレス)

◆8魚種の価格…日本の感覚では激安

販売されている魚種と価格は、2地点に大差はなかった。調査時は、朝鮮半島の東側で獲れたものしかなかった。すべて乾物か塩漬けで、鮮魚、活魚はないとのことだった。各々の魚の大きさ、カニの種類は不明。スルメが高いのは、不漁が続いているためだろう。

以下は11月末から12月初旬かけての価格の一覧である。単位は北朝鮮ウォン。国営商店と公設市場で調べた。

〇恵山市
ホッケ2匹 3000、ハタハタ1キロ 2100、ニシン1キロ 6100、カレイ2匹 5000、明太2匹 10000、マス2匹 8000、カニ1キロ24000、スルメ1キロ 61000

〇咸鏡北道A市
ホッケ2匹 3200、ハタハタ1キロ 2400、ニシン1キロ 5800、カレイ2匹 5200、明太2匹 9000、マス2匹 7500、カニ1キロ 24000、スルメ1キロ 58000

※北朝鮮の1000ウォンは日本円で約18円

(参考写真)恵山市場の一角で女性たちが魚を売っている。彼女たちは幅80センチほどの売り場の「店主」であり、仕入れと販売は自己責任だ。2013年8月に撮影アジアプレス

日本や韓国の相場と比べるととても安い。だが、現地の人の感覚からするとコロナ以前より上がったという。調査期間中の食糧価格は概ね白米5000ウォン、トウモロコシ2000ウォン(いずれも1キロ)で、「多くの庶民は生活が苦しいので、食糧の値段と比べて考えるので高く感じるのは当たり前だ」と、A市の協力者は言う。

両江道の協力者によれば、「淡水魚や養殖したドジョウの方が海の魚よりが安くてよく売れている」とのことだった。

恵山市で調査した協力者は、「売られている海産物はすべて東海岸側の咸興、金策、明川産だった」と述べた。中国に近い辺境都市の恵山市は、西側の黄海方面との交通アクセスが悪いためだと考えられる。咸鏡北道のA市は東海岸に距離的に近く、多くの漁業拠点がある清津と付近産のものが販売されていた。(了)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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