◆大リストラは2023年末から開始された

――貿易会社の大リストラはいつから始まったのか?
恵山市で小さな「基地」を持つ貿易会社をなくしたり整理したりし始めたのは昨年からだ。昨年末には基本的にすべての統廃合が済んだと思う。「国家貿易」を通じて中国に輸出できる会社だけを残し、独自に国内資源を集めて輸出して儲け、計画(国に課されたノルマ)を遂行していた「基地」はすべてなくなったはずだ。

※「基地」 外貨を稼ぐための輸出品や「賃加工」品の生産と集約の拠点組織のこと。権力機関や貿易会社の傘下に多数作られ、特権的に物流に関わった。

 

――「基地」の従業員はどうなったのか?
私の知人は「基地」で輸出用の物資の管理をしていたが、解散させられてビール工場に労働者として配置された。このような構造調整をたくさんしている。

 

――今後、輸出用の物資は誰が集約することになるのか?
小さな貿易会社が担ってきた「源泉」の仕事は、国営商店や国営の商業管理所でやれということになった。しかし、ちゃんとできるか疑問だ。「源泉」を集めて売りに来る地域の住民を把握していなければならないし、車両や燃料も準備しなければならない。国営の流通機関はそんなことは何も知らないはずだ。うまくいかないのではないか。 

※「源泉」 主に中国に輸出される外貨稼ぎ用の品は、漢方薬の材料や山菜、水産物などの一次産品が多い。一般住民が野山や海で採取したものであり、外貨稼ぎの「源泉」と呼ばれる。

 

金正恩政権が昨年末から敢行した貿易会社の大リストラは、実質的に多くの権力機関の利権を没収するものであった。金正恩政権が2019年頃から始めた「反市場」政策の一環であるが、それは経済的動機というよりも、強力な政治意思によって推進されて来たのであった。
(了)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

 

<北朝鮮内部>金政権が貿易会社を大リストラ(1) 「反社会主義の温床」と規定し統廃合を強行

 

★新着記事