＜ウクライナ現地報告＞南部オデーサの集合住宅に自爆ドローン「シャヘド」、住民12人が死亡（映像、写真10枚、地図）

瓦礫の中から運び出される遺体。袋に詰められたのは、小さな子どもの遺体だった。(2024年3月・オデーサ・撮影：玉本英子）

◆瓦礫から子どもの遺体

現場では救助活動を続けるレスキュー隊や消防隊が救助活動にあたっていた。クレーンで大きなコンクリート壁を移動させ、崩れた建物の瓦礫を隊員たちが取り除いていく。住人が埋もれている可能性があるため、隊員がひとつずつ手で瓦礫を掻き分ける作業で、捜索犬も投入された。瓦礫のなかから子どもとみられる小さな遺体が隊員に運び出されると、住民から落胆のため息が漏れた。

「攻撃を受けたのは付近に軍事施設や工場もない住宅地で、市民を狙った攻撃だ」と述べるウクライナ軍オデーサ管区のナタリヤ・フメニュク報道官。(2024年3月・オデーサ・撮影：玉本英子）

ウクライナ軍オデーサ管区のナタリヤ・フメニュク報道官は、「攻撃を受けたのは住宅地であり、近くには学校もある。軍事施設や工場もない地区で、市民を狙った攻撃だ」と述べた。

シャヘド・ドローンは巡航ミサイルよりも飛来回数が多く、頻繁に防空警報が発令されており、住民の心理的ストレスも増している。

オデーサ州検察庁が3月2日に公表した、自爆ドローンの機体の一部とみられる部品。（オデーサ検察当局公表写真より）

被害を受けた住宅の向かいの棟に住む男性は、ドローンが炸裂する瞬間を見たという。
「こんな近くの住宅地で爆発するなんて恐怖しかない。この地区の住宅は古い構造で、地下の退避シェルターに逃げても建物が上から崩落する危険がある。今度攻撃があったら屋外に逃げるしかない」と話した。