仕事でアスベスト(石綿)を吸って、健康被害を発生し、2025年度に労災や特別遺族給付で認定された件数の速報値は計1527件に上り、実質的に過去最多を更新した。請求数も同様に実質過去最多の2174件だった。(井部正之)

厚生労働省の発表資料。前年度比は記載があるが、アスベスト労災などが実質「過去最多」までの言及はない

◆建設業の認定1008件で最多

6月17日の厚生労働省発表(速報値)によれば、2025年度の石綿による労災認定は1394件(中皮腫702件、肺がん530件、びまん性胸膜肥厚88件、石綿肺50件、良性石綿胸水24件)。労災給付を受けないまま亡くなった労働者の遺族に支給される「特別遺族給付」の認定は133件(中皮腫65件、肺がん59件、石綿肺5件、びまん性胸膜肥厚4件)。

請求数計2174件のうち、労災の請求が1788件(石綿肺除く)で、特別遺族給付の請求が386件。労災請求の内訳は、肺がん941件、中皮腫719件、良性石綿胸水46件、びまん性胸膜肥厚82件。特別遺族給付の内訳は、肺がん167件、中皮腫91件、石綿肺8件、びまん性胸膜肥厚4件。

労災の認定率は、請求1788件のうち1344件で83.3%(石綿肺除く)。特別遺族給付の認定率は、請求270件のうち133件で49.3%。いずれも過去5年間でもっとも低かった。

労災認定率を疾病ごとにみると、中皮腫93.7%、肺がん72.3%、びまん性胸膜肥厚81.5%、良性石綿胸水100%。同様に特別遺族給付では、中皮腫71.4%、肺がん35.3%、びまん性胸膜肥厚100%、石綿肺62.5%。

認定数を業種別でみると、建設業が最多で1008件(労災927件、特別遺族給付81件)で、認定数の66%を占める。次いで製造業374件(労災333件、特別遺族給付41件)で24.5%、運輸業33件(労災31件、特別遺族給付2件)で同2.2%、電気・ガス・水道または熱供給の事業7件(労災6件、特別遺族給付1件)で同0.5%。建設業の労災・特別遺族給付が計1000件を超えたのは初めて。

最多の建設業認定数1008件を疾病別でみると、中皮腫469件、肺がん425件、びまん性胸膜肥厚65件、石綿肺33件、良性石綿胸水16件になる。製造業では中皮腫216件、肺がん117件、びまん性胸膜肥厚17件、石綿肺17件、良性石綿胸水7件。建設業は製造業に比べ、肺がの発生率が高く、それだけ高濃度ばく露であることが推定できる。

建設業の認定をさらに細かくみると、建築事業が最多で719件(中皮腫323件、肺がん313件、びまん性胸膜肥厚47件、石綿肺22件、良性石綿胸水14件)。建物改修時の設備工事を専門とする「既設建築物設備工事業」194件(中皮腫101件、肺がん75件、びまん性胸膜肥厚11件、石綿肺6件、良性石綿胸水1件)、機械設備の組み立てまたは据え付けの事業31件(中皮腫14件、肺がん13件、びまん性胸膜肥厚2件、石綿肺2件)と続く。

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