イランで売られている乾麺(レシテ)。イランではこれを煮込み料理の具材として、ふやけるまで煮込んでしまうが、さっと湯でて冷水でしめれば、なんとか日本のうどんのように食すことも可能だ。つわりで苦しむ妻も、このレシテで作った温かいうどんはよく食べた。(撮影筆者)

イランで売られている乾麺(レシテ)。イランではこれを煮込み料理の具材として、ふやけるまで煮込んでしまうが、さっと湯でて冷水でしめれば、なんとか日本のうどんのように食すことも可能だ。つわりで苦しむ妻も、このレシテで作った温かいうどんはよく食べた。(撮影筆者)

 

◆イランでの妊婦生活(上)

妊娠が分かったとき、妻は強い不安と後悔の念に襲われた。というのも、妻は最近、強力な下痢止めを飲んでいたからだ。ロモティルという名のその下痢止めは、「下痢止め界の核兵器」の異名を持つほどよく効く薬で、当然、妊娠初期の服用は好ましくない。

妊娠がまだ明らかになっていなかった先週、数日ひどい下痢に苦しんでいた妻は、アナウンサーの仕事に差支えがあるといけないからと、一度だけこの薬を飲んだ。ところが、どうやらこの下痢自体が、妊娠初期特有の兆候だったらしい。

後に、イランの婦人科の先生から、妻が下痢止めを飲んだのは、胎児の体の各器官が形成される最も重要な時期からは外れているので恐らく影響は出ない だろうと聞かされた。私たちはひとまずその言葉を信じるしかなかったが、それでも、私たちはこの一件によって、その後10ヶ月の間、不安を抱え続けること になった。

下痢が治まると、今度は突然、つわりが襲ってきた。妻はかなりつわりが重い方らしい。途端にイラン食はもちろんのこと、それまで好きだったものも含 めてほとんどの食べ物を受け付けなくなった。24時間、四六時中吐き気をもよおしているというのは、男の私には想像もつかない苦しみに違いない。想像もつ かないので、カレーやお好み焼きといった日本食を、喜ぶだろうと思って作ってあげていた。妻は内心、「食えるかー!!」と心の中で悲鳴を上げていたらしい が、せっかくだからと無理して食べては全部吐いていた。

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