テヘランの街中に立つキオスク。お菓子、飲み物、新聞、雑誌、テレフォンカードなどが売られる。店番を兼ねて、狭い店内で夜を明かす売り子も多い(撮影筆者)

テヘランの街中に立つキオスク。お菓子、飲み物、新聞、雑誌、テレフォンカードなどが売られる。店番を兼ねて、狭い店内で夜を明かす売り子も多い(撮影筆者)

 

◆イラン国営放送外国人独身寮でイラン生活を再開

妻子を日本に残し、単身、10カ月ぶりにイランに渡った私は、アパートが見つかるまでの間、イラン国営放送の外国人スタッフ用独身寮に身を寄せるこ とになった。そこはテヘラン中心部に立つ古いアパートの1フロアーで、広々とした3LDKに、ナイジェリア人、アフガン人、カザフ人、インドネシア人の外 国人スタッフばかりが暮らしている。部屋代はタダみたいなもので、男ばかりの殺風景この上ない寮だ。

初日、職場からこの寮まで一緒に付き添ってくれたのは、カザフスタンから来て、ラジオ・カザフ語課に勤めるイェルケターイーさんだ。物静かで紳士的 な青年で、私同様、かつてイランで暮らし、今は故国に帰っている奥さんをまたイランに呼び寄せるまで、この寮で仮り暮らしをしているのだという。
彼はイスラム教スンニー派だが、シーア派の国イランに留学し、今はこうしてラジオ局で働いている。そのことについて聞くと、彼は表情一つ変えずこう答える。

「同じイスラム教徒だから、別に学ぶことはそんなに変わらないよ。でも、スンニー派の国へ留学したやつらは、きっと一生シーア派のことなんか考えないだろうね。イスラム教徒として、シーア派のことをよく知ることが出来て良かったと思うよ」

長い長い確執の時代を経て、今はイラクで殺し合いすら行われるシーア派とスンニー派。彼のような柔軟な思考も存在するのだと驚かされる。
寮に着くと、二人のインドネシア人が出迎えてくれ、ちょうど届いていた組み立て式ベッドと毛布を部屋に運ぶのを手伝ってくれた。

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