2009年6月12日のイラン大統領選挙の投票には多くの国民が積極的に参加した。投票所の小学校に長い列をなすテヘラン市民(撮影・筆者/テヘラン)

2009年6月12日のイラン大統領選挙の投票には多くの国民が積極的に参加した。投票所の小学校に長い列をなすテヘラン市民(撮影・筆者/テヘラン)


◆熱気に満ちた投票所

2009年6月12日、初夏の日差しが降りそそぐ穏やかな朝だった。アパートの窓から外を見下ろすと、気温が上がる前の公園には、早起きの老人や、ぶかぶかの上着にジャージ姿でウォーキングに興じる女性たちの姿が目に入る。

休日の金曜日だが今日も出勤の私は、会社のピッキングタクシーが迎えに来るまでの短い時間に、散歩がてら家族で近所の投票所を見て回ることにした。第10期イラン大統領選挙の投票がこの日、全国一斉に始まったのだ。

家の近所を歩いてみると、小学校、モスク、水道局の3箇所で投票所を見かけた。内務省の発表では、有権者4600万人に対し、約4万5千箇所の投票所が設置されているという。1000人に1箇所という計算になる。

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【イランの大統領と選挙制度】
国家元首は宗教指導者であり、大統領は行政府の長という位置付けに過ぎないが、州知事や大使の任命権などを有する。任期は4年で連続2期8年まで継続可能(一度退任すれば再立候補は何度でも可能)。16歳以上の直接選挙で選ばれるが、立候補には厳しい資格審査があり、現イスラム体制に忠実な人物しか立候補を認められない。この資格審査という制限によって、イランの民主主義は不完全なものであると欧米諸国から非難されている。また国内でも、このような選挙制度のもとでは、経済問題や人権問題など、国の根本的な問題は何も変わらない、と冷めた見方をする国民も多いが、選挙に不正はないとの前提のもと、自身の一票を国政に生かそうという国民も多数いる。また投票の際に身分証に押されるスタンプの数が少ないと、進学や公務への就職、パスポートの取得などに影響すると言われており、そのために高校生のほとんどは投票に行く。1979年のイスラム革命以降、2009年までに10期6名の大統領が選出されている。
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