「平和で静かな空を」と、米軍機の爆音解消・基地撤去を訴える人びと
取材:吉田敏浩 撮影:刀川和也 中平真由果

凄まじい爆音の「暴力」
050406g3_01.jpg【写真:訓練に飛び立つ米軍の戦闘攻撃機 】
住宅が立ち並ぶ市街地の真上を、米軍のジェット機が低空で飛び交う。家々の屋根に覆いかぶさるように機影が次々と飛び去る。轟音を地上にたたきつけてくる。耳をつんざき、頭の中まで揺さぶるように響く。

この爆音と振動の下では、家の中にいても、会話もできなければ、安らぎも得られない。テレビの音も聞こえない。心身を苛む音と衝撃の「暴力」といってもいい。耳鳴りや難聴、ストレスによるイライラや頭痛、動悸、睡眠不足など、爆音による健康被害を訴える住民も多い。
また、いつ米軍機が墜落するかもしれないという不安と恐怖も伴っている。現にこれまで、1964年に住民5人が死亡・3人が負傷、1977年に住民2人が死亡・7人が負傷するなど、大小の墜落事故が何十回も起きている。

050406g3_02.jpg【写真:神奈川県の鶴間駅上空を飛行する自衛隊のP3C対潜哨戒機】

ここ米海軍厚木基地周辺の住民は、このような米軍機による爆音、凄まじい騒音の害と墜落事故の危険に、もう50年以上もさらされている。生活と人権を侵害されつづけている。騒音対策として防衛施設庁による住宅防音工事もされているが、爆音を十分に遮断できるわけではない。
厚木基地は神奈川県中央部の大和市と綾瀬市にまたがってある。面積は約510万平方メートル(横浜スタジアムのおよそ200倍)と広大で、約2500メートルの滑走路を備えている。

厚木基地の航空管制区域となっている半径9キロ以内には、大和市と綾瀬市のほかにも座間市、海老名市、藤沢市、相模原市、横浜市、東京都町田市の市街地も含まれ、その範囲に住む人の数はおよそ150万人にも上る。厚木基地はまさに住宅が密集する都市部の真ん中にある。

米海軍第7艦隊の空母キティーホークの艦載機で、戦闘攻撃機のF/Aー18ホーネット、スーパー・ホーネット、電子戦機EAー6Bプラウラーなど、70数機がここを拠点にして、日本の上空を低空飛行訓練などで飛び回り、爆音をまきちらしている。
海上自衛隊も厚木基地を共同使用しており、P3C対潜哨戒機などが訓練を繰り返している。
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