◆沖縄と日本の未来を左右する県知事選

さらに沖縄県の調査で、基地返還跡地の那覇新都心で返還前と比べ従業員数が103倍、雇用者報酬が69倍に増えるなど、基地返還による経済波及効果の実績、大きさが証明されました。

県経済に占める基地関連収入の割合も、「本土復帰」時(1972年)の15・5%から、2009年の時点で5・2%へと下がっています。「沖縄経済の基地依存」説はもはや過去の話なのです。

そうした点を翁長陣営も捉え、「基地は沖縄経済発展の阻害要因」と訴えています。

前出の平良CEOも、「観光は平和産業。基地と観光は共存できない」と唱えています。

アジアの観光・物流の中心拠点は平和あってこそです。新基地建設・軍拡とは矛盾します。新基地建設は沖縄を基地と振興策に縛られ閉ざされた軍拡の島に固定化するでしょう。

そのような道を行くのか、それとも新基地を造らせず、アジアの交流拠点として開かれた平和の島への道を進むのか。来る知事選は沖縄の未来を左右します。

しかし、そのような岐路を沖縄に強いる日本国家のあり方こそが問題です。名護市在住で市民団体「ヘリ基地反対協議会」の安次富〔あしとみ〕浩共同代表がこう訴えます。

「民意を無視した国策の押しつけは、民主主義ではありません。日本の民主主義のあり方が問われています。新基地反対を訴えることは、沖縄の主体性を確立すると同時に、日本の民主主義を盛り返すことでもあります」

辺野古でのカヌーによる抗議活動に参加する京都市在住の大学1年生、片岡希望さん(18)は、「沖縄に犠牲を強いるこの国の現実は、日本人1人ひとりが考えるべき問題だと思い、ここに来ました」と語ります。

新基地建設問題と県知事選のゆくえは、沖縄だけでなく日本の平和のゆくえと未来にも、大きく関わっているのです。

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書籍 『検証・法治国家崩壊 ~砂川裁判と日米密約交渉』 (吉田敏浩)

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