「イナかのせんきょ」を製作した武田倫和監督(35)。若い人たちには「投票して」というだけではなく、「どんどん立候補してほしい」と語る。(大阪市内にて6月17日撮影:編集部)

「イナかのせんきょ」を製作した武田倫和監督(35)。若い人たちには「投票して」というだけではなく、「どんどん立候補してほしい」と語る。(大阪市内にて6月17日撮影:編集部)

◆無所属で地元出身者でもない若者の選挙運動とは
武田監督:
八木さんが移住して1年後、市会議員選挙に出るというので驚きました。地盤もない彼に何ができるのか。私は居酒屋の2階に泊 まらせてもらいながら、同行しカメラを回し続けました。当初、彼は政治家になりたい熱意はあっても、具体的な考えを上手く伝えられていないように見えまし た。それでも周りの人たちのアドバイスなどを受け入れ、瞬く間に成長していきました。各地区を丹念に回り、自分の考えを伝えるだけではなく、人の話に耳を 傾け、つながっていく。新聞記者としてのコミュニケーション能力の高さも生かされていたと思います。

「選挙はお金がかかる」と言いますが、彼の場合、供託金30万円は別として、他にかかったのはポスターの印刷代や車のガソリン代ぐらい。10人ほど の後援会の人たちは全員ボランティアでした。選挙期間の1週間まるまる休みをとって「ウグイス嬢」をやった男性もいたぐらいです。ひとつの目標に向かって みんなが一致団結する姿に、心を動かされました。

あと、これまで私には見えてこなかったことですが、選挙は「面白い」です。若者の政治離れがすすんでいるといわれますが、密着取材して意外だったの は、八木さんの街頭演説で一番反応を見せていたのは高校生や小学生たちでした。かれらは自分の故郷が大好きだし、その未来に関心がないわけではないんで す。

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