「人数的には事業者2人、住民側1人。数が合わないというご意見もあるかと思いますが、まったく住民という観点で進めようというふうに思ってない。配分については参考にさせていただく」(環境省)

だが、住民という観点を最初から排除しているのもおかしいし、専門家もいない。公平性に問題があるのではないかと追及すると、「意見として承っておきます」と繰り返す。

実際に意見を反映させるつもりはあるのかと聞くと、「ありません」と即答した。

同じ環境省の検討会でも、「化学物質と環境円卓会議」では市民、産業界、行政、学識経験者、ゲストと名簿でわけて記載し、市民と産業界の委員数をほぼ同数にするよう努力していた。しかも市民と産業界の委員はそれぞれ7名程度とはるかに多い。

担当者が「住民という観点で進めようというふうに思ってない」と言い切る今回の検討会とは天と地の差だ。

それだけアスベスト問題に対する環境省の対応のずさんさ、やる気のなさがあらわれているといえよう。

リスクコミュニケーションのあり方を検討するのに、当事者や専門家を排除するのでは何のための"リスクコミュニケーション"なのかとあきれ果てる。今回の「秘密検討会」を開くきっかけとなった中間答申は決して秘密裏に、当事者や専門家を除外するよう求めてなどいない。

検討会は3月で終了するというのだが、それで終わりとせず、委員構成や会議の非公開対応などを見直し、透明性を確保したうえで再出発すべきではないか。(了)【井部正之】

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