大げさな話だと一笑に付すことはできないようなことがすでに起きていた。
瀧本さんが大阪府内の高校で講演したとき、後日、学校から感想文が送られてきた。その中に、「左巻き(左翼の意味)のじじいが政権を批判するなんて許せない。話を聞いて無駄な時間を過ごした」と書いた一文があった。語り部活動を始めて10年以上になるが、そんな感想が寄せられるのは初めてのことだった。
さらに、数日前、大阪市内の中学校から依頼された講演をキャンセルされた。講演担当の女性教諭が打ち合わせに来てくれ、どのような話をするか説明した。その教師から報告を受けたのであろう校長が電話で「政権を強く批判したら困る。瀧本さんの話は都合が悪いので」と説明したというのだ。

「誰が困るというのでしょうか。校長自身なのでしょう。大阪市内はかなり締め付けが厳しくなっています。校長が『事なかれ主義』から断ったとしたら、生徒たちに戦争とはどういうものか、人が死ぬとはどういうことか、想像力を働かす機会を奪ったことになりませんか。秘密保護法が成立し、安保法制が施行され、戦場へ行かされるのは今の若者です。米軍の『弾除け』にされかねないのですよ」

参院選の最中、毎日新聞の川柳欄にこんな一句があったという。
「戦争は年寄りが決めて若者が死ぬ」――。
瀧本さんは、腹が立ちすぎて眠れない夜があるという。

「国は国民を騙す。国のウソを見破る力をつけないと、また騙されてしまう。国のウソを見抜く力を投票にあらわさなければならないのだが、忘れてしまうのか。日ごろから関心が薄いのか……。もっと賢くならないと、子どもや孫たちを守れませんよ」(矢野宏/新聞うずみ火)

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