◆「適切に施工」と業者反論

「除去中の写真で養生が一部しかない。あるところも形だけのパフパフ養生ですよ。換気扇も養生してない。窓から透けてみえる感じだと裏側(建物外部)からも(隔離養生を)やってないですし、負圧除じんしているようにも見えません。鉄骨造で壁などがトタンだと、よっぽど計算値より高い換気率にしないと負圧が効きません。仮に負圧除じん装置を使っていたとしても、相当(外部に)アスベストを飛散させたと思いますよ」

また「ツッコミどころが満載すぎて細かな指摘をし出すと終わらない」と呆れていた。

本来必要なはずの養生は一部しかなく周辺と「隔離」されていない。養生がある箇所もきちんと固定されておらず、すき間だらけである。仮に負圧除じん装置を設置していたとしても、これでは外部にアスベストが垂れ流しだったはずだ。おまけに作業者は石綿則で定められた電動ファン付きの全面防じんマスクを着用していないなど、筆者がみても「違法作業の証拠だらけ」とわかる。

同社ウェブサイトの除去写真は巣鴨の不適正現場であることが明記されていないが、区環境保全課に確認したところ、「提出させた作業時の写真と同じものがいくつもあったので間違いない」と認める。

ところが好栄工業に不適正工事のことを聞くと「全部きれいに終わりました」と回答した。法令で定められた隔離養生や負圧除じんがなかったことも「指摘されて全部やりましたよね」と反論。当初必要な対策を講じておらず、外部にアスベストを飛散させる不適正工事だったのではないかと質問を重ねると「施工はうちじゃないです。名前だけですね。うちはわからない」と言い出した。

施工者に連絡させるというので電話番号を伝えたところ、ほどなく施工したという男性から電話があった。その男性は「好栄さんの名前を借りてやっただけ。実際には好栄さんはやってない」と説明。不適正工事について明確には答えず、「それ以上しゃべれない。豊島区さんに聞いてください」と言うだけだった。

改めて豊島区に説明してもらった。

区環境保全課は提出写真から「十分な養生ができているとは思っていない」と話す。また負圧除じん装置は「施工業者は使っていたというが、使っていたのなら写真があっても良いはず」として、実際には設置していなかった可能性があるとの見解だ。

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