◆神奈川・藤沢では昭和40年代まで遡って評価

2018年5月に報告書が出された神奈川県藤沢市の浜見保育園における同様事例では昭和40年代までさかのぼって当時の児童らの曝露についてリスク評価をしている。また不適正工事による児童らのアスベスト曝露について初めて検証した東京都文京区のさしがや保育園における事例(1999年発覚)でも間仕切り撤去が曝露原因の1つであり、その経緯や作業を詳細に調べている。

これが当たり前の対応であろう。ところが堺市では座長や市から「昭和」の検証を切り捨てるかのような発言が相次いだ。

じつは堺市内で中皮腫などを発症し、国の救済制度で認定を受けた人の約45%がアスベストを扱う工場の周辺における環境曝露やどこで吸ったか不明となっている。古川さんはこのことに触れつつ、こう訴える。

「過去に吸ったひとがいま発病しているリスクもある。それだけが原因で発病とは言い切れないけど、万が一の可能性もある。どこかで原因不明になっているかもしれないわけですから、当時のこともちゃんと調べなきゃいけない。いま現在の検証は大事だけど、アスベスト被害では過去の検証も大事なんです。過去のことを切り捨てることは許されません」

学校や保育園で子どもたちがアスベストに曝露した事例においては第三者の専門家会議による健康リスクと行政対応の検証が必要となる。堺市は2016年6月の北部地域整備事務所におけるアスベスト飛散事故でも、今回においても行政対応の検証から逃げ続けている。今度は「昭和」の時代における曝露検証から逃げようというのか。

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