(参考写真)2011年2月16日の金正日総書記の誕生日に配られた子供向け特別配給。袋には「子供菓子」とある。ビスケットのようだ。主原料の表記に、砂糖、小麦粉、油、卵と見える。2011年2月撮影崔敬玉(アジアプレス)

◆祝日期間は警備厳戒

――自力でできますか?

祝日用の配給物資を調達するために、党の幹部たちは農村に『宿題』(課題、ノルマ)の大部分を押し付けるやり方でしたね。一部の企業では、党員の労働者に3000ウォン(約50円)ずつ納めよと要求していました。

――祝日を盛大に祝う雰囲気ですか?

行事はいろいろ大きいものがあります。ただ、それよりも、14日から17日まで特別警備週間なので、うっとおしくて仕方ない。司法・統治機関と青年同盟、地方の民間武力が警備に動員されていて、万一にも事件・事故が発生しないよう厳重に警戒している。ここの市党組織のトップも祝日勤務するそうです。

本心から祝日を喜ぶとか、愛国心いっぱいだなんて、あり得ませんね。祝日が嬉しいのは贈り物や配給がもらえて仕事を休めるから。上から祝えと言われるので、ただ習慣的にやっているだけです。

2. 両江道
国家的な祝日配給は全くなかった。機関や企業所に対し自力で労働者に特別配給を出せと指示があって、恵山(ヘサン)市内の鋼鉄工場では、ハタハタを1人に1キロ配給し、製紙工場では醤油、味噌が少し出た。いずれも無償。企業に職場を持たない人たちには、特別配給は全くなかった。一方、検察、裁判所、警察などの司法・統治機関、労働党機関、行政機関の職員には、1人あたり食用油500グラムと水産物の配給があったという。

◆平壌市民に驚きの大盤振る舞いか

アジアプレスでは、金正日生誕記念に関して平壌の状況を十分に調査できなかったが、韓国の北朝鮮情報専門メディアのデイリーNKは、例年を大きく上回る物資が特別配給されて平壌市民が喜んだと、2月15日に伝えている。

デイリーNKが伝えた1人当たり配給内容の概要は次の通り。

下着2着、石鹸4個、歯磨き2個、歯ブラシ2個、チリ紙10個、毛布1枚
食料品は、大豆油300グラム、醤油500グラム、味噌2キロ、豚肉300グラム、卵10個、中国製砂糖500グラム、など。

デイリーNKの報道が事実なら、近年にない大盤振る舞いであり、金正恩政権が、平壌を優遇するために地方を切り捨てている現実がわかる。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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