◆要望無視しリスク押しつけ

まして横浜市は今回、実際に作業場外への石綿飛散が間違いなく、子どもたちのばく露が懸念される状況にある。まさしくアスベストセンターの指摘どおりといってよい事態が起きたにもかかわらず、「せめて子どものいない日に」という切実な訴えを市は無視した。

試験施工後に屋根材と内装材の撤去はそれぞれ2日間の計4日間を予定。毎土曜の施工であれば、2週間の工期延長でしかない。

そもそも今回の石綿飛散事故は市の発注仕様や計画確認、現場管理がずさんだったために起きた。それなのにきわめて容易かつ安全性の高い、子どものいない日に施工するという程度のことすら拒否した。

つまり工期を優先して、子どもに石綿ばく露のリスクを負わせた。市の無責任で子どもに石綿ばく露のリスクが生じ、その結果としての工期遅れのツケを再び子どもに押しつけたことになる。市の姿勢は安全軽視のうえ、非人道的といわざるを得ない。

作業開始前の10月28日に筆者は市に内装材についても児童らのいない日に撤去すべきではないかと指摘したが、明確な回答はなかった。

市は作業時は毎日測定するというが、午後はしないため石綿が飛散しても半分はわからないままだ。また結果が出るのは早くても作業終了後で、数日要することもある。まして作業現場での石綿の濃度管理をしていない以上、十分安全性が確保されているとは言い難い。

市は7日までの作業で石綿を含む可能性のある空気中の繊維が市の指導基準の同1本以下だったとして安全性を強調する。しかし、作業の半分は実態不明といわざるを得ない。

今後、市は行政対応を検証し、再発防止に徹底して取り組む必要がある。児童らの石綿ばく露リスクの検証とあわせ、きちんと第三者の専門家による委員会方式で実施することが望まれる。

 

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