◆娘について話すのはタブー

国内メディアで露出が増えるにつれ、気になる住民たちの口の端に娘のことが上ることが増えているようだ。関連して8月末に茂山(ムサン)郡に事件が発生したと、協力者が伝えてきていた。

「青年同盟員たちが酒席で娘のことを下手に話題にしたために連行される事件があった。除隊軍人1人と、20代の女性2人、男性1人が集まって、『これからは女が強くなる。我われは女首領の配慮を受けることになるんだろう』と話して問題になった。4人はすべて保衛局(秘密警察)に呼ばれて調査を受けている」

批判めいたことを言うと捕まってしまうので、娘のことを絶対に悪く言えない。他人がいる場では娘の話は避けるというのが、協力者に共通した考えだった。また、登場直後は多くがあの少女に関心を持ったが一時的だったようだ。「暮らしが厳しくて、皆それどころではないんですよ」と協力者の一人は言う。

◆「キム・ジュエ」は後継候補か?

「キム・ジュエ」の露出が増えるにつれ、韓国や日本では四代世襲後継候補の可能性について論じられること増えた。肝心の北朝鮮の人々の見方はどうなのか? 協力者およびその周囲の反応をまとめてみよう。

「まだ幼い子供だ。そもそも女だから後継者になるなんて考えられないだろう」という意見が大多数。

「なぜ子供を頻繁に行事に連れて行くのだろうかと、気になっている人もいる。『天才だ、万才だ』という噂も流されている。本当に娘が将軍様(指導者)になったらおかしなことなのだが、真剣に(娘に)代を継がようという考えがあるのではないか」(咸鏡北道の協力者)

「一族の中からまた次の指導者が出るなんて話にならない、反対だ」(両江道の女性協力者)という発言もあった。

「キム・ジュエ」が最初に登場したのは2022年11月、次は2023年2月の閲兵式(軍事パレード)だったが、最近はイメージが変わったという指摘も多かった。

「最初に出てきたときは子供にしか見えなかったが、今年に入りとても大人っぽい服装と髪型で出てくるので、『実はもう学校を卒業するほどの年齢なのではないのか? 正恩氏を補佐しているというのは本当ではないか』とこそこそ話すようになった」(両江道の女性協力者)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

 

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